小池知事の仮想敵として「夜の街」は作られた

これ以降、六本木や麻布十番、渋谷はじめ私の地元墨田区などで夜間営業を行っている居酒屋・バー経営者の皆様から、経営が悪化しているという旨をお聞きしたり、治安が悪化しているというご指摘を受けたりする機会が増えました。私自身、飲食店の経営支援について各省庁や自民党本部に幾度となく掛け合ってきました。お店の形態に関わらず、東京の飲食店は家賃、人件費等固定費が高くなります。そのほとんどが個人事業者や小規模事業者の経営だという点を重く受け止めて動いてきたのです。

そこで私は、都議会本会議の場で小池知事に「夜の街」とざっくりした表現を使わずに「パチンコ店」のようにもっとハッキリした表現を使うべきでないかと意見しました。小池知事お得意の「仮想敵政治」「ワンフレーズポリティクス」のセンスでは、「夜の街」というあいまいな言葉がふさわしかったことでしょう。新型コロナウイルスと最前で戦っているという姿を広く国民に印象付けることに成功したあとは、「夜の街」と戦っているというイメージを作ろうと考えたのだと思われます。

K-1も仮想敵として印象操作されていた

3月22日に埼玉スーパーアリーナでK-1イベントが通常開催されたことをうけ、小池知事は東京都職員を繰り返しK-1 JAPAN GROUP側へ行かせました。そして3月25日夜、緊急会見で小池知事は「3月28日のイベントの実行委員会に対し、都といたしまして3月24日から、現下の感染拡大の状況を踏まえて、主催者として開催について改めてご検討いただくように要請してきたところでございます。本日夕刻ですが、2回目の協議を行いまして、先ほどK-1の実行委員会の方から都に対しましてご連絡をいただきました。それは『感染の拡大を防止する』との要請の趣旨に沿う、ということで無観客試合として対応していただけるという、前向きなご連絡をいただいたところでございます。ご協力に対しまして感謝申し上げます」と得意げに語ったのでした。この時点では、埼玉県も東京都も「強制力なし」「補償なし」でK-1側に開催自粛を働きかけたにもかかわらず、印象操作の結果マスコミの報道でもK-1は「仮想敵」として扱われていました。