進むも後退するも「いばらの道」
東京都は5月6日にモニタリング会議を開き、11日が期限となっていた緊急事態宣言について月末まで延長することを国に要請しました。都議会自民党ではその判断を受けて、小池百合子都知事に緊急要望を行ったものの、都知事の目に力はなく、心ここにあらずの状態でした。この延長が想定外だったのか、それとも何か全く異なる事を考えているのかと邪推してしまう程でした。
ここのところ、一部のメディアが「小池都知事がオリンピックを返上し、都議選に向かう」と報じています。無責任な報道と受け止めていますが、この1年の小池都知事のオリンピックに関わる言動を見ていると、正直なところ、中途半端な姿勢が気になっています。
例えば都議会本会議場で「大会への決意」を求められても、明確な発言はありません。かと言って、中止にも言及しない、開催都市の長として、どこか無責任であると私はずっと感じてきました。唯一、気合が入っていると感じたのは、今年2月に森喜朗前会長の発言が話題を集めていた頃です。常に世論の風を読んで判断する小池都知事らしいとも言えるかもしれません。
それは、後段に記述する各種アンケート回答にもにじみ出ています。私は、この都知事としての曖昧な態度が、さまざまな臆測を呼び、開催派と中止派が激しくやり合う一因となっていると思います。競泳の池江璃花子選手がSNSでの発言を強いられるなど、次から次へと不必要な展開が生まれています。
私自身は大会を招致し準備を進めていくべきという立場でありますが、全ては東京、日本の未来に禍根を残さないために、どんな形であれ説明責任を果たしていきたいと考えております。
準備を進めるとは回答するが…
例えば、毎日新聞が47都道府県知事に行ったアンケートでは、小池都知事は「コロナ感染症の拡大を抑えるため、関係者と一丸となって全力で対策に取り組んでいる。安全安心な大会の実現に向け準備を進める」と答え、準備を進めるとは回答するが「絶対やる」とも「やらない」とも答えない姿勢でした。
《参照:2021年5月4日毎日新聞朝刊「東京五輪・パラ、9県『感染次第で中止・延期』『必ず開催』ゼロ 毎日新聞全国知事調査」》
また、4月29日配信の朝日新聞デジタル「『五輪見届けたいが…』都庁職員からも中止求める声」では、オリンピック開催に懐疑的な職員の声が取り上げられています。
一方、小池都知事は、これまでバッハ会長との信頼関係をアピールし、4月28日の五者協議ではオリンピック開催を前提とした「東京レガシーハーフマラソン」を2022年秋に開催する事を発表しています。つまり、大会を開催したいと考えているが、世論が反対多数のために言い切れない状況なのだと見ています。
そんな中、ネットなどでは「大会中止になった場合でも違約金はない」として、五輪中止を呼びかける主張が目立ってきました。そうした主張には、開催派も中止派も事実誤認が多いので詳しく説明させてください。