日本航空は経営破綻で年金が大幅切り下げに

「生活水準を変えるのは本当に難しいですね」と苦笑いするのは、63歳のチサさん(仮名)。現在、母と叔母との3人暮らし。神奈川県にある築50年を超す母の持ち家で生活する。

「現役の頃は、ほとんど毎日のように外食をしていました。今思えば、強迫的に追われていたのかも。人付き合いが何より重要だという価値観になっていましたからね。今は外食自体は減りましたが、当時から付き合いが始まった友人たちと旅行に行ったりすれば、そこでもお金を使っています。この前は福井で蟹を食べてきましたよ」

スマホを見ながら笑いあう3人の女性
写真=iStock.com/RichVintage
※写真はイメージです

銀行、航空会社、メーカーと転職を重ね、経営にも携わったことがあるというチサさん。国民年金の受け取りはまだ始まっていないものの、一般的な水準をはるかに上回る年金をすでに受け取っている。

「私の厚生年金は月に11万円。それに企業年金が15万円加わって、月の収入は26万円ほど。それでも時折、年金だけでは支払いが賄いきれずに貯金に手を出してしまうこともあるんですよね。子供がいないので、最終的に財産は甥や姪に残せたらいいなと思っているのですが……ちゃんと残せるかな」

チサさんが厚生年金を受け取り始めたのは62歳から。国民年金の満額受給までにはまだ時間がある。キャリアの途中で確定拠出年金を始め、現在は個人型確定拠出年金(iDeCo)に移行。まだその受給は始まっていないため、貯金を切り崩しているとはいえ、資産も収入も心配はないように見える。

【図表】63歳 年金満額受給は先ながら「現役時代の生活が変えられない」

チサさんがこれほど多くの企業年金を受け取れるのは、キャリアの途中で大きな決断があったからだ。

「私が勤めていた航空会社というのが、実は日本航空なんです。経営破綻した当時、年金の切り下げをOBにお願いする業務も担当していました」

2010年1月19日、日本航空は経営破綻に追い込まれた。負債総額は2兆3221億円。当時、経営再建に向けて重要な問題になっていたのが、同社が抱える企業年金負債だった。