優しい主将
1984年の春、広島大学スケート部アイスホッケー部門に入った私を主将として迎えてくれたのが、3年生の小原さんでした。
部内の上下関係が厳しかった時代ですが、小原さんは話しやすく、優しい先輩でした。背が高いのでポジションはディフェンス。相手の隙を見てちょっと「悪さ」をする、ずる賢いプレーが持ち味です。
氷上で練習できるのは早朝か深夜だけ。ひたすら練習に打ち込む日々で、法学部の私は午前中の授業をさぼって寝ていることもありましたが、歯学部の小原さんはそうもいかず、さぞ大変だったろうと思います。
私たちの卒業後しばらくたって、練習場所だった広島市内のアイスアリーナがなくなり、スケート部も姿を消しました。小原さんと会うこともないまま、37年。転機は、同期で続けてきた年賀状をやめてLINEグループをつくったことでした。そこで小原さんともつながり、昨年、食事に誘っていただいたのです。
歯科医師・研究者として国内外各地で勤務した小原さんは、最終的に米国で細菌学の研究にも取り組み、この秋に帰国しました。「会う前はドキドキしたけど、会うと一瞬で戻るね」と小原さん。私も同感です。小原さんは話しやすい先輩のままでした。
アイスホッケーは、日本ではマイナースポーツです。数少ない仲間だからこそ、このご縁を大切にしたい。私たちの再会をきっかけに、あの頃の懐かしい面々とまた顔を揃えられたら嬉しいですね。(猪俣)
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2026年11月13日号)の一部を再編集したものです。
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(構成=神前 梨理子(本誌編集部) 撮影=市来 朋久)
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