笑福亭鶴瓶、広末涼子、宇野昌磨らがリレーを辞退
7月23日に予定される東京オリンピック・パラリンピックの開会式まで100日を切った。3月25日には福島を起点に聖火リレーが始まったが、今ひとつ盛り上がらない。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は4月14日、「7月23日に東京・国立競技場で待っています」と呼びかけたが、日本国民の多くが、いまだに「本当にやれるのか」と疑念を抱いているのだ。
スタートした聖火リレーも次々に問題が起きている。聖火ランナーに選ばれていた著名人の辞退も相次いだ。3月25日時点のNHKの報道では、この1年間で辞退や死去した著名人などのランナーは34都府県で91人にのぼったとされた。
1年延期されたことで、仕事のスケジュールが合わなくなったという理由が多かったが、オリンピック組織委員会の会長だった森喜朗氏の発言を理由に辞退した人もいた。辞退した著名人の中には、落語家の笑福亭鶴瓶さんや俳優の広末涼子さん、フィギュアスケートの宇野昌磨選手などがいた。
リレーランナーの多くも「本当にやるの?」と思っていた
辞退者が相次ぐことになってしまった最大の理由は、「本当に聖火リレーを始められるのか」がギリギリまで分からなかったためだ。政府は3月18日に、3月21日をもって「緊急事態宣言」を解除することを決めた。国民の中には「解除すべきでない」という声もかなりあったが、病床利用率などが基準を下回ったとして解除に踏み切った。
解除を決めた後の3月20日夜には、政府と東京都、大会組織委員会、IOC、国際パラリンピック委員会(IPC)の「5者協議」が開かれ、「海外からの観客の受け入れ断念」を決めた。逆に言えば、海外からの観客は受け入れないが大会自体は開く、という方針確認だった。
「5者協議」は3月3日にも開かれ、メディアの一部は直前に「海外観客の受け入れ断念」を報じていたが、その段階では決定されなかった。緊急事態宣言の2週間延長が決まる中で、「大会をやる」という表明ができなかったのだが、聖火リレー出発の直前になって、ようやく「5者協議」で開催を確認したわけだ。強引にも見えた「緊急事態宣言」の解除は、そのためにもどうしても必要だった、という見方も根強い。
つまり、聖火リレーがスタートする直前まで、本当にオリパラが実施できるのか、半信半疑だった人が、リレーランナーにも多くいたということだ。実施されるかどうか分からないリレーのために仕事の予定を犠牲にするわけにはいかない、というのが著名人の事情だったのだろう。要は、政府がギリギリまで結論を出せなかったことに最大の原因があったとみていい。