1954年、東京都生まれ。57歳。78年東京大学法学部卒業、同社入社。2003年経営企画部長、05年執行役員、08年常務執行役員、10年専務。6月より現職。
1.出身高校:東京教育大学附属高校
2.座右の書、好きな本:特になし
3.尊敬する歴史上の人物:諸葛孔明
4.座右の銘、好きな言葉:人事を尽くして天命を待つ
5.健康法・ストレス解消法:若い人とお酒を飲む、水中ウオーキング
3月11日、三井不動産の商業施設「三井アウトレットパーク仙台港」も津波の被害を受けた。幸い人的被害はなく、6月25日には営業を再開。復興に寄与した。社長の菰田正信はこう振り返る。
「災害の後、その街をどのように復活させるか。BCP(事業継続計画)を含め、その点をさらに強化・拡充しなければいけないという問題意識が高まりました」
それまで市況は回復基調にあった。5月には中期経営計画を発表する予定だったが、震災の影響を踏まえて、最長1年ほど発表を遅らせることにした。
「正直、11年度の決算計画をつくっているときも、11年はかなりいけるのかなという感じはしたんですが、震災を境に、少し景色が変わってしまった」
加えて、不動産業界もグローバル化と日本社会の成熟化への対応という2つの課題を抱える。菰田は、量的には充足している日本の住宅市場での「成熟化」とは、顧客ニーズの多様化であると読む。
菰田にとって最も印象に残っている仕事のひとつが、現在進行している経営計画のベースとなった「チャレンジ・プラン2008」である。同プランは「顧客志向の経営」「ビジネスモデルの革新」「効率の高いグループ経営」の3つの戦略を掲げているが、それを住宅事業において具現化したのが05年に設立した三井不動産レジデンシャルだという。
「製販一体の会社をつくろうという問題意識がありました。顧客に接する部隊、マンションをつくり込む部隊、土地を取得する部隊。これらが別会社にいると『プロダクトアウト』の発想に陥る。顧客のニーズと商品にずれが発生してきているんじゃないか、という危機感があった」
企画力は上がってきた。だが「営業力の強化は道半ば」と、満足はしていない。
「住宅分譲はレジデンシャル、注文住宅は三井ホーム、中古流通は三井不動産販売に分かれていて、一つの大きなテーマとなっています。組織や体制を、もう一度白紙に戻して検討しないといけない」