福沢諭吉:1834~1901。大阪生まれ。明治の啓蒙思想家。父は中津藩の下級武士、緒方洪庵に蘭学を学ぶ。万延元(1860)年幕府の遣米使節に。著書に『福翁自伝』など。

1万円札の中できっと怒ってる

福沢諭吉が独特な存在だったのは、政治の世界に入ろうとしなかったことだ。当時の時代状況を考えても、日本を変えるためには政治の世界に入ったほうが手っ取り早かった。

薩長土肥に代表される、幕末に名前を売った尊皇攘夷運動や討幕に加わった人物のほとんどは、明治政府に参画した。征韓論で下野した西郷隆盛のような例もあるけれども、日本のあり方を憂えた人物の多くは政治家になっていた。大久保利通、伊藤博文、板垣退助もそうだ。