大久保利通:1830~78。旧薩摩藩 (現鹿児島県)の中枢として倒幕に貢献。明治新政府では初代内務卿に就任。佐賀の乱征討、台湾出兵を経て実権を握り、中央集権体制を確立。東京・紀尾井坂で暗殺。
<strong>奈良大学教授 佐々木 克</strong>●1940年、秋田県生まれ。70年、立教大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学名誉教授・博士。現在、奈良大学文学部史学科で教鞭を執る。著書に『戊辰戦争』『志士と官僚』『日本近代の出発』『坂本龍馬とその時代』『幕末政治と薩摩藩』『大久保利通と明治維新』『幕末の天皇・明治天皇』ほか。
奈良大学教授 
佐々木 克

1940年、秋田県生まれ。70年、立教大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学名誉教授・博士。現在、奈良大学文学部史学科で教鞭を執る。著書に『戊辰戦争』『志士と官僚』『日本近代の出発』『坂本龍馬とその時代』『幕末政治と薩摩藩』『大久保利通と明治維新』『幕末の天皇・明治天皇』ほか。

1960年代半ば、私が立教大大学院で学んでいた頃の恩師が、大久保利通の孫に当たる利謙教授。180センチ近い長身と風貌は肖像写真そっくりだったが、大久保についてはこちらから聞くとやっとぽつりぽつりと話す程度だった。

当時、歴史学の世界はマルクス主義史観が全盛。「人民を弾圧した」大久保は非常に評判の悪い人物だった。これには先生なりに不満があったようで、大久保に興味を持った私にまず「これを読んでごらん」と手渡したのが、『大久保利通』と題した一冊の本だった。