いま結婚式を開いてもいいのか。それとも中止するべきなのか。4月11日に挙式と披露宴を予定していた東京都の会社員、松尾英樹さん(29歳)は、ギリギリまで迷った結果、3月27日に「中止して、秋に延期」を決めたという。なぜすぐに決断できなかったのか。本人に事情を聞いた――。
くるまるウェディングの花
写真=iStock.com/pdiamondp
※写真はイメージです

式場から届いた延期をうながすメール

「日程の変更をおすすめさせていただくことになりました」

東京都内のIT企業に務める松尾英樹さん(29歳)に結婚式場からのメールが届いたのは、3月27日。小池百合子東京都知事による、「週末の不要不急の外出自粛要請」が出された2日後だった。

松尾さんは、4月11日に都内の式場で結婚式と披露宴を行う予定だった。2018年10月から式場探しを始め、2019年3月に予約。今年1月上旬には招待状を発送し、順調に準備を進めてきた。式は神前式で、披露宴の招待客は90名程度、総額で約440万円の支払いを予定していた。

もともと松尾夫妻は、結婚式を挙げるつもりはなかった。その分、新婚旅行でお金を使おうと思っていたのだという。だが、新婦の父親から「どうしても結婚式を挙げてほしい」と言われ、式を挙げることを決意した。

日本国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは1月14日。東京都内では2月13日に最初の感染者が確認された。松尾さんの勤務先では、2月19日から在宅勤務を開始している。だがこの時点では、「4月の結婚式を延期にすることになるとは思ってもみなかった」という。