自主独立の気概を鼓舞する書

<strong>JT 本田勝彦相談役</strong>●1942年、鹿児島県生まれ。65年東京大学法学部卒業後、日本専売公社(現JT)入社。2006年6月から現職。昨年NHKで放映された大河ドラマ「篤姫」を楽しみに鑑賞した。薩摩藩の重鎮・小松帯刀が当時藩を支えた実績を高く評価している。
JT 本田勝彦相談役●1942年、鹿児島県生まれ。65年東京大学法学部卒業後、日本専売公社(現JT)入社。2006年6月から現職。昨年NHKで放映された大河ドラマ「篤姫」を楽しみに鑑賞した。薩摩藩の重鎮・小松帯刀が当時藩を支えた実績を高く評価している。

今、日本が置かれている状況には、大きな危機感を覚えずにはいられません。それは金融危機といったレベルではなく、日本のグローバリズムがどうあるべきかが問われているのです。世界の中で日本国がどういうふうに生きていくべきか。この発想を持てずにいることが危機的状態にあると思います。

歴史を振り返れば、日本は何度かグローバリズムの波を経験しています。古くは聖徳太子の時代。国、秩序が生まれ、仏教が伝来し、遣隋使や遣唐使などを通じて海外との関係をつくっていきます。その後も元寇、鉄砲伝来、キリスト教伝来などがありました。徳川時代は鎖国政策を取りましたが、長崎の出島を通してポルトガルやオランダとの交流でグローバリズムを保っていました。

やがて幕末になり、明治維新を迎えます。日露戦争で日本のグローバリズムがいったん止まり、第二次世界大戦の敗戦でグローバリズムが復活します。

この流れを振り返ると、その時代、その時代で、時の国民1人ひとりが日本はどうあるべきかを真剣に考えていました。しかし今、世界の中で日本という国がどう生きていくのか。この考えが忘れ去られているかのように感じます。

リーダーの力が不足しているという前に、1人ひとりが自主独立の気概を持っているのか、と問いたいのです。誰かに頼ろうとしてばかりで、自力で生きようとしていない。これは非常に危険な状態です。

今回は、こうした自主独立の気概を鼓舞するための本を選んでみました。