パンデミックを前に対応が後手に回る各国政府
新型コロナウイルスの大規模な流行を受けて、世界経済への悪影響が深刻化している。当初は感染の拡大が見られなかった欧米でもコロナウイルスの感染者が急増しており、米ジョンズ・ホプキンス大学がリアルタイムに公表している特設サイトによれば、日本時間3月11日正午時点で世界の感染者数は11万8000人を超えたようだ。
今後も感染者数の増加は続くと見込まれる。各国で検査体制が整えば、それだけ感染者数の発見が進むと考えられるからである。またこれまでの世界的な流行の経緯を振り返ると、局所的なホットスポットがあるにせよ、かなり前から新型コロナウイルスは世界的に拡散していたと考える方が自然な見方ではないだろうか。
感染が発覚した11万人程度のうち死者は4000人程度、それもその多くが発症元とされる中国の武漢での惨事である。中国の場合、地方都市では医療へのアクセスがいまだ悪く、気がついた頃には重篤化していた事例が多いようだ。言い換えれば、新型コロナウイルスは、発症しても適切な対処療法が行われれば十分に完治が見込めるということだろう。
それに新型コロナウイルスの予防対策も、従来のインフルエンザなどと同様に、手洗いの徹底などオーソドックスなものであるようだ。適切に対処できていればそれほど恐れる必要はなさそうだが、近年まれに見るウイルス感染症の世界的流行(パンデミック)を目の前に、各国とも対応が後手に回ってしまっているというのが実情と言えよう。