正月早々、夏休みの計画を立てる
夏休み中は最低限の業務をまわし、できるだけ心置きなく休めるよう、いくつか工夫がなされている。例えば、休みはできるだけ交代でとり、計画は早めにすることだ。とはいえ、一番いい季節の7月に休みをとりたい人は多い。夏休みの半年前ぐらいから休みの希望を提出するのだが、周りの出方を見たり、上司や同僚と交渉したりし、早めに計画をたてていく。クリスマスや新年が明けて「ハッピーニューイヤー!」と言ったそばから、「夏休みの予定出してね」と言われる。
また、子どもがいる場合は、パートナーとの計画のすり合わせが必要となる。というのも6月頭から8月中旬まで学校が休みになってしまい、父親と母親が1か月ずつ休んだとしても足りないほど休みが長い。幼い子どもを一人家に置いておくわけにいかないので、祖父母の家にあずけたり、キャンプに行かせたり、パパ友・ママ友、近所に頼ったりする必要がある。
自分の希望を気軽に上司に伝えられる風土がある
上下関係のあまりないフィンランドではあるが、やはり上司がより自分の都合を優先させて、家族をまだ持っていない若い人たちや、勤続年数の浅い人が少ししわ寄せを受けることはある。
調査によると、30歳以下の社会人のうち、約半分が4週間連続の夏期休暇をとれていない。全ての社会人では、4週間連続でとれていないのは27パーセントである。年間の有給休暇は100パーセント消化できていても、4週間連続の休みはとりづらい人がいることも確かだ。
フィンランドの法律によれば、夏期休暇は12勤務日以上の連続した休みを与えなければならないとなっている。ただ、小企業や、収益が厳しい企業ほど、まとまった休みはとりづらく、経営者や財務関係の職種も連続での取得が若干難しいようだ。
その一方で、4週間に残業時間を足して計6週間休みをとったとか、年間の有給休暇をすべて注ぎこんで夏休みではない11月に5週間の海外旅行にでかけたという友人、さらには有給では足りなくて、無給でも休みを数日足してもらったという友人も私の周りにはいる。
いずれも、上司に希望を伝え、理解を得て実現した。このように自分の希望を気軽に会社や上司に伝え、それに対して柔軟に対応してくれる企業風土がフィンランドにはある。「それが、社員のモチベーションにもつながるから」と上司の立場にいる友人は言う。