フィンランドの会社には年功序列がない。20代で管理職として50代の部下を持っていることもある。フィンランド大使館で広報を務める堀内都喜子氏が、日本人とは全く違うフィンランド人の働き方を紹介する——。
※本稿は、堀内都喜子『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。
嫌なことは社長にだって直接言える
フィンランドの仕事の文化で、どんなところが一番好き? と周りに聞いた時、ワークライフバランスと共に挙げられたのが、「職場での平等でオープンな関係性」だった。組織にはそれぞれマネージャー、経理、エンジニア、アシスタントなど、様々な肩書や役割分担がある。
だが、ある友人曰く「そういった違いが自動的にその人の価値の評価につながるわけではない。それよりも何をしたのかという事実や結果、どのぐらいスキルや知識を発揮したのか、倫理的にやったのか、周りとの協力はどうだったか。しかも、上司だけでなく、周りにいる人の目にはどう映っているのか。それがその人の価値を作っていくんです。同時に、経営陣は従業員の話に耳を傾けているし、従業員は自分たちの環境や仕事に影響を与えることができる。部下から見て改善点があれば、上司にフィードバックしたり、批判したりすることも難しくはありません」とのことだ。
1000人超の従業員のいるフィンランド企業で働く友人も、「私と社長の間には何段ものステップがあるのは事実だけれど、それほど階級的なものは感じられない。何か嫌なことや、改善点があれば、上司や社長にだって直接言える」と言う。