相手を信頼して任せてみる
このように、フィンランドでは男性でも女性でも性別にこだわらず、年齢が若くとも、勤続年数が少なくとも、とにかく相手を信頼して任せてみるという風潮がある。最初はあまりうまくいかなくとも、ダメな時はサポートする。そこに「女性だから」とか、「若いから」、「まだ入ったばかりだから」といった雰囲気や「期待しない感」や「下に見ている感」は微塵もない。私自身も、フィンランド人の管理職やリーダー職についている人と話していて、相手が真摯に技術的なことや、経営のことを、私にわかりやすく話してくれることが、日本ではあまり体験しないことなので、いつも不思議でしょうがなかった。
フィンランドの大学でアルバイトした時も、知り合って間もない私に、上司のフィンランド人の教授は大きな学会の司会と進行チェックをまかせてきた。ある意味無茶ぶりで驚いたが、同時にやってみようと前向きに感じたことも事実だ。そんな風に相手を信頼するフィンランドのマネージメントはとても心地がいいし、任されたほうは期待に応えようと気合も入る。
こういった上下関係を作らない風潮は政治でも感じられる。変革を求めてフレッシュな30代の女性政治家を党首に選んだり、大臣職に20代、30代のやる気溢れ、考え方も柔軟な若手政治家を選んだりしている。
必ずしも会うことを重要視しない
さらに、日本とフィンランドの違いを感じるのは、日本人は関係作りを重視して、まず一回目は顔合わせ、その後何度も顔を合わせての報告を希望することが多いが、フィンランド人からすると挨拶だけの面談はいらないし、報告も基本メールか電話にしてほしいと考える点だ。
もちろん会ったからこそ発展することもあるし、顔を合わせる重要性はフィンランド人も知っている。ただ、会うと30分〜1時間は時間がとられてしまう。効率を考えると、たいした用件や議題もないのに、はたして会う意味があるのだろうかと感じてしまうのだ。だからこそ必ずしも会うことに必要性は感じないし、一度会ったら、その後はメールや電話でいいです、ということになる。
一方で、私がフィンランド人の会議や面談に立ち会って、少し残念に思うこともある。それはフィンランド人が、あまりスモールトークが得意ではなく、あっさりと挨拶と用件だけで終わりにしてしまうことだ。フィンランド人のスモールトークのなさは、よく海外から指摘されることだ。