1年は11か月と割り切る

最近ではライフスタイルの変化や、夏の間も完全休業ではなく経済活動を維持するために、休みは7月だけでなく分散型になってきた。6~8月末までの間に、有給休暇をまとめて4週間、人によってはそれ以上に長い休みをとる。育児休暇と合わせて2~3か月休んだという男性も私の周りに複数いる。

その間、取引相手や同僚は困ることがないわけではないが「夏は何も進まない。大事なことは決めない。連絡もとれなくて当然」と最初から割り切ってしまえば、何とかなるものである。重要な打ち合わせや決め事は6月より前にし、1年は12か月でなく11か月と割り切ればいい。

画像提供=Visit Finland

休み中はたとえ緊急の連絡でも受けない

また、普段やり取りのある人たちからは、6月ごろから「私は××から××まで夏期休暇をとるので、緊急の際は同僚の○○に連絡してくださいね」などと連絡が来るので、それほど困ることはない。面白いのは、緊急の場合は私の携帯に電話してね、という人がほとんどいないことだ。休みは休み、いくら携帯で連絡がつく時代になったとはいえ、邪魔するなという暗黙のルールが伝わって来る。

夏の間、多くの企業では最低限の業務をまわすため、社員が交代で休みをとるのが普通だが、小さな企業やお店、レストランやサービス業などでは思い切って3~4週間、完全に閉めて一斉に夏休みにしてしまうこともある。店の休業の貼り紙を見て「理解できない! レストランなんて夏が儲け時なのに!」と日本人の知人は憤慨していたが、社員やスタッフの休みの権利を侵害することはできない。

だから日本企業や日本人経営者がフィンランドでとまどうのが、残業や長期休暇を含めて労働者の権利の部分だとよく聞く。権利が強く守られているし、経営者もそれは遵守しないとならないからだ。