(4)複雑な話をシンプルにする

レイが自分のワークショップでよくやるのは、メイフラワー号で新世界に到着したばかりの人間に扮することだ。そして、受講者たちに、たとえば電子レンジのような現代の事物を、17世紀初めの人間に理解できるように説明してくれと要求するのである。

このエクササイズは、複雑なことをそれについてあまり知らない人に説明するスキルを身につけるのに役立つ。

(5)「でも」という言葉を使わない

「『でも』とか『しかし』という言葉は、2つのアイデアを比較するものだ」とレイは言う。「どちらか1つのアイデアが勝たなくてはいけないわけだから、関係を壊すおそれがある」。それに対し、「『だから』や『そして』は、2つのアイデアを結びつけるものだ。『でも』や『しかし』を使わないことに決めたら、2つのアイデアを結びつけるような話し方や考え方をせざるをえなくなる」。

6)友人と話すように顧客と話す

ノースウエスト航空の顧客サービス係の社員たちは、苦情を聞く過程で顧客の言葉を繰り返すようにしていたが、これは客をさらに怒らせる場合が多いことに彼らは気づいた。

彼らのために何度かワークショップを行ったレイはこう話した。

 「あなたの友人が荷物をなくしたとしたら、どう言ってあげますか。『お気の毒に。さぞお困りでしょう』というふうなことを言うのではありませんか。『お腹立ちはたしかに理解できます。状況を正すためにあらゆる試みがなされています』などとは、間違っても言いませんよね。まず、相手が何を必要としているかを見つけ出さなくてはいけない。そのためには頭の回転を遅くして、相手の話に耳を傾けることだ」

(7)間違いを恐れない

アドリブの重要な部分は、人間は間違いをするものだという理解である。間違いは創造のプロセスのごく当たり前の、避けられない一部であることを受け入れよう。そして、最初からやり直せばいいのである。

(翻訳=ディプロマット)