給料は減り、人員も減り、仕事だけが増えていく。部下は不安と不満でいっぱいだ。そんな職場で人事評価をしなくてはならない上司は頭をかかえていることだろう。しかし評価もやり方によっては部下の不安を取り除き、やる気を出させることもできる。
社員の「不安と怒り」を緩和する評価の仕方
「ゴースト・ワーク」――レイオフによって人員が最小限に減らされたとき、残った者たちの肩にかかってくる仕事のことだ。この「ゴースト・ワーク」の負担、さらなるダウンサイジングやリストラの不安、昇給やボーナスは減ったとかゼロになったとかいう、落胆するようなニュース――これらがあいまって、今年の人事考課シーズンは社員にとってもマネジャーにとっても特にストレスの多いものになりそうだ。
しかし、たとえ気が進まなくても、マネジャーはそれを敬遠している場合ではない。
「評価プロセスで大切なのは、社員や会社にとっての夢は放棄されたのではなく、会社が新しい状況に適応する方法を見つけるまで先延ばしされているだけだということを社員にわかってもらうことだ」と、『The 10-Minutes Guide to Performance Appraisals』の著者、デイル・フルトヴェングラーは言う。
会社や事業部門がどんな困難に直面していようと、マネジャーは評価対象者に一律に良い評価を決して与えてはならない。経営コンサルティング会社、センター・フォー・アプライド・リサーチの副社長、マラキ・オコナーは、トラブルを避けるためにすべての評価対象者に良い評価を与えるマネジャーは、実は自分をトラブルに追いやっているのだと言う。とりわけその部門の実績が並かそれ以下の場合は、そのマネジャーの上司を含めて社内の他の人々は、そのマネジャーがつける評価を信用しなくなる。
社員は今年、かつてないほど自分のパフォーマンスを気にしている。すばらしい成果を挙げている社員でさえ例外ではないと、ペンシルベニア大学のウォートン・スモール・ビジネス開発センターの講師も務める経営コンサルタント、ライラ・ブースは言う。自分のパフォーマンスについて何も言ってもらえないと、社員は「次に首を切られるのは自分だ」と思いがちだ。「不安と、不安が招く怒り」を避けるために、社員に自分のパフォーマンスや会社の財務状態についてたえずフィードバックを与えていく必要がある、と彼女は言う。