3時間の練習がたった4分になった
現在の水泳界は科学的トレーニングが普及し、僕の学生時代に比べたら練習の効率は格段に向上しています。特に高校までは故郷の宮崎にいたので情報格差もあって、スタミナをつけるためにひたすら泳ぎつづける“根性練”も当たり前でした。
ただ、科学的トレーニングの練習メニューが「楽で、短時間で高い効果がある」というのは誤解です。むしろ科学的トレーニングのほうがハードで、短時間でいかに肉体を追い込むかという発想。
その代表が「タバタ・プロトコル」です。これは立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授が開発したトレーニング法で、海外でも「TABATA」といえば通用します。
具体的に説明すると、20秒間は全力を出し、10秒間の休息を入れるというもので、これを1セットとして8セットから10セット繰り返します。8セットならたった4分間ですから、練習時間だけ見れば、ものすごく効率的です。
しかも瞬発力だけでなく、持久力も高まることが証明されています。例えば、練習で10キロメートルを泳ぐと2時間半から3時間かかり持久力の向上が期待できますが、タバタ・プロトコルでも持久力が高まるというデータがあるのです。3時間と4分間ですから大変な違いです。