かつてラグビー日本代表は「勝ち」を知らないチームだった。なぜ「W杯ベスト8」の快挙をなしえたのか。元日本代表メンタルコーチの荒木香織氏は「8年前、五郎丸歩選手など4人のリーダーが、チームをまったく違うものに変えていった」という――。
※本稿は、荒木香織『リーダーシップを鍛える ラグビー日本代表「躍進」の原動力』(講談社)の一部を再編集したものです。
NZ代表も実践したリーダーシップトレーニングとは
2012年、日本代表チームに就任したエディー・ジョーンズヘッドコーチ。そのエディーさんが、チームが抱えた課題のなかでも特に興味を示したのは、「リーダーシップ」と「コミュニケーション力」でした。
これらの力をつけるためにエディーさんが提案したのが、「デュアルリーダーシップ」です。
まずは、組織の軸になるようなコーチングスタッフによるリーダーシップ。
さらに、選手5~6名で形成するリーダーシップ。
この二本立てでチームをリードしていくのが、デュアル(2拠点)リーダーシップです。
スポーツ心理学を実践することでは世界一と言われるラグビーのニュージーランド代表が、同じような手法で2011年のW杯で優勝を成し遂げたことが紹介された文献があります。そこで、それを参考にしながら進めていくことになりました。
まず以下のような大まかなロードマップを、エディーさんと話し合って決めました。
【1年目:2012年】リーダーシップやリーダーの役割について理解する
【2年目:2013年】実際にプログラムを構築して、リーダーたちが取り組む
【3年目:2014年】W杯に向け、2年目に取り組んだ内容で練習していく
【4年目:2015年】TOP10を目指し、実際にW杯でリーダーシップを発揮する
【2年目:2013年】実際にプログラムを構築して、リーダーたちが取り組む
【3年目:2014年】W杯に向け、2年目に取り組んだ内容で練習していく
【4年目:2015年】TOP10を目指し、実際にW杯でリーダーシップを発揮する
このように、段階を踏みながらチームに挙げられた課題を解決していくのです。
そのためには、リーダーとして選ばれた4人の選手たちにリーダーシップのスキルをつけてもらうことが不可欠でした。リーダーがリーダーとして成長すれば、チームの成長を促進できます。