五郎丸選手の目標は「練習中、声を出して褒める」

また、「一人ひとりが認められていると感じているか」を不安に感じる選手も少なくありませんでした。

そこでリーダーズと一緒に考え出した二つ目の取り組みが「仲間を褒め合う」でした。

失敗した仲間に大声で否定するより、前向きな言葉をかけ合う方がいい。良かったことやできたことに気づいて褒める方が、早く自信が付きます。

具体的な行動や、ラグビーのスキルについて「できる」という感覚を積み重ねることができたら、それはやがて自信につながっていきます。

そして、身近にいる選手の姿を見ると、「自分にもできる」といった感覚が生まれます。些細なことでも認め合い、褒め合うことによって個人とチームの自信につながります。

さらに、オフ・ザ・フィールド(練習や試合以外の場)のリーダーである菊谷選手は、チームにこんな目標を設定しました。

「練習や試合の後は、ロッカーやバスのゴミ拾いをする。手伝ってくれたチームメイトに『ナイス!』『ありがとう!』の声掛けをしよう」

それを自ら率先する菊谷選手の姿を見て、試合後はメンバー外の選手が同じような役割を果たすようになりました。リーダーの背中を見ながら、少しずつ整理整頓を徹底できる環境作りが選手間でできるようになったのです。

「練習中、声を出して褒める」

オン・ザ・フィールドのリーダーである五郎丸選手は、これを最初の目標にしました。彼のフルバックというポジションは、他選手の動きを見ることができます。であれば、もっと声を出すべきだと自分で考えたのです。

日本人と外国人をつなげたリーチ選手の役目

そして、リーチ・マイケル選手は、日本人と外国人選手の間を取り持つ役目を担いました。

外国人といっても、見かけが日本人と違うだけで日本語を流暢に話せる選手はたくさんいましたし、反対に見かけが日本人でも、英語の方が得意な選手もいました。

ただし、日本語と日本の文化をあまり理解できない選手がいたことも確かです。

食事や移動などでは居心地が良いため、つい同じ母国語の選手が一緒になりがちで、外国語ばかりで話していると、周囲との距離がどんどん広がります。

そこでリーチ選手は、以下の目標を設定しました。

・外国人同士のときも日本語で話すようにする
・ずっと外国人だけで行動しない