ブランドバッグや宝石より、筋肉質で引き締まったボディを手に入れたい。そんな女性が増えている。甲南女子大学教授の米澤泉さんは「最近、女性の間では、モノを持たなければ持たないほどいいというミニマリズムが流行し、その断捨離意識は自らのボディに向けられている。彼女たちにとってぜい肉のない筋肉ボディは最高のアクセサリー」という——。

※本稿は、米澤泉『筋肉女子 なぜ私たちは筋トレに魅せられるのか』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/SrdjanPav
※写真はイメージです

シックスパックの「筋肉女子」になりたい

モデルの中村アンや朝比奈彩にクロスフィットトレーナーのAYA。近頃、筋肉を鍛える女子が世間をにぎわせている。彼女たちは筋肉女子、腹筋女子などと呼ばれ、ストイックに鍛えあげた体をメディアで誇示している。

シックスパックと呼ばれる腹筋が割れているお腹、引き締まった二の腕や太もも。従来の女らしいカラダとは異なる「ナイスバディ」は人々を、とりわけ女性たちを魅了してやまない。

ファッション誌や美容情報誌には筋肉女子たちの引き締まったカラダが常に登場し、具体的なエクササイズの方法や食事、そのライフスタイルまでが毎号のように紹介されている。

また、インスタグラムで「#腹筋女子」「#筋肉女子」と検索するとそれぞれ37万9000件、19万5000件がヒットする(2019年8月31日現在)。

そのいずれもが、エクササイズ中の写真や動画、美しい腹筋をはじめとする筋肉を誇示する写真である。ジムや自宅で、筋肉に夢中になっている女子の姿を確認することができる。ちなみに「#筋肉男子」は4万2000件しかヒットせず、筋肉女子の足下にも及ばない。