一億総ヘルシー志向時代に「筋肉」が流行の中心に躍り出た

WELLNESS is NEW LUXURY——健康であることが最も重視される社会において、無理なダイエットや他力本願なエステや美容医療で作りあげた身体は、今までのように価値をもたなくなりつつある。それよりも、食事に気を配り、エクササイズを欠かさない、健康的なライフスタイルがにじみ出る身体こそ賞賛されるに値する。

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なぜなら、そこにはサステナビリティ(持続可能性)を含めた自らの強い意志が存在するからだ。朝早く起きて手の込んだ朝食を作ったり、ランニングをしたり、ジムでトレーニングをしたり、ジャンクフードを避けたりするのは強い意志が必要だ。しかも、継続的にほぼ毎日取り組まなければ、身体はすぐに元に戻ってしまう。

今求められているのは、健康的かつ意志的なボディ

つまり、今求められているのは、健康的かつ意志的なボディなのである。健康的で意志を感じさせるボディと言えば、筋肉ボディをおいて他にないだろう。

筋肉は、洋服や靴を買うように、お金を出せばその場で手に入るというわけにはいかない。また一度手に入れても、ずっと自分のものになるわけではない。(山本ケイイチ『仕事が出来る人はなぜ筋トレをするのか』幻冬舎新書、2008年)

まさに筋肉は一日にしてならずなのだ。強い意志のもとにトレーニングに励み、健康的な生活を続けられた人だけが手に入れられる筋肉こそ、最強のアクセサリーである。

というわけで、東京オリンピック・パラリンピックも近づき、「スポーツを着る。スポーツと暮らす。」(『FRAU』2018年5月号)「オシャレだって『ヘルシー』が憧れ」(『CLASSY.』2019年3月号)という具合に、ファッション誌までもがこぞってスポーティで健康的なライフスタイルを推奨する一億総ヘルシー志向なこの時代に、筋肉が流行の中心に躍り出ることになったのである。

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