この面での手助けを始めようと思うなら、まず社員が職場で持つ4種類の人間関係のそれぞれについて、部下1人1人を評価してみることだ、とアールリクスは述べている。あなた(上司)との関係、同僚との関係、他の部署との関係、コミュニティ(顧客、ベンダー、市民団体、職業団体)とのさまざまな関係である。部下の強みと弱みを把握して初めて、彼らのスキル向上を助ける戦略を考えることができる。

(3)信頼構築

グレイト・プレイス・トゥ・ワーク・インスティチュートが行った調査によると、強い信頼で結ばれたチームをつくりたいと思うなら、マネジャーは、信用、敬意、公正さ、プライド、仲間意識に配慮する必要がある。

(4)スキル構築

「一口に20年の経験があるといっても、その間ずっと学習を重ねてきた人と、1年の経験を20回繰り返しただけの人がいる」とロバートソンは語る。「われわれのハード・スキルは絶えず磨いていなければ衰えるだけだ」。

社員がスキルを維持し、新しいスキルを習得するのを手助けできるよう、グループの中にミニ・トレーニングの機能を設けるべきだ、とアールリクスは言う。グループのメンバーが各自の仕事の質を高め、グループの目標を達成するために、メンバーに最も必要なスキルや行動、知識を特定する責任を負う学習タスクフォースをつくろう。さまざまな方法や媒体──昼食学習会、ディスカッション・グループ、専門誌や専門ウェブサイトから情報を集めたチーム独自の学習資料、簡単なジョブ・シャドウイング(職場体験)、他チームとの交換トレーニング──を通じて、簡便で利用しやすい学習機会を提供しよう。

「日に20~30分あれば、チーム全体の学習を継続的に前進させることができる」と、アールリクスは述べている。

しかし、継続的に学習するだけでは不十分で、他者に教えるという作業にも社員を継続的に関わらせる必要がある、と彼女は言う。教えることによって、社員は学習したばかりの知識を自分のものにすることができる。しかし、それ以上に重要なのは、教えることによって、知識を移転するスキル──組織はこのスキルをますます必要としている──を高められることだろう。