長生きできる人の特徴とは何なのか。医学博士の奥村歩氏は、「離婚をした男性は早死にする傾向が強いという研究結果がある。一方、女性の寿命は変わらないか、逆に長生きする傾向がある」という――。(第3回/全5回)

※本稿は、奥村歩『「朝ドラ」を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか?』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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寿命についての80年にわたる追跡調査

世の中には、日々健康に気をつけていても早死にしてしまう人もいますし、健康のことなんかまったく気にしていないのにしぶとく長生きする人もいます。きっと「いったい何が短命と長命を分けるカギになっているのだろう」と不思議に思っている方も多いのではないでしょうか。

これについて、80年の歳月をかけてアメリカで行なわれた疫学研究があります。その名も「Longevity Project」(長寿研究)。おもしろい研究成果が報告されているので、ちょっと紹介しておきましょう。

この研究が画期的なのは、子どもの時期から死を迎えるまでのおよそ80年にわたり追跡調査をして、どんな要素が長生きに結びついているのかを調べた点。

1921年、米スタンフォード大のルイス・ターマン教授は、当時10歳の児童1528人を対象に性格の傾向や社会生活の動向を調べ、その後どのような人生を歩んでいくのかを記録するという壮大なプロジェクトを立ち上げました。

調査は5~10年おきに対象者にインタビューをするというかたちで進められ、ターマン教授の死後は若手研究者らに引き継がれて、対象者の寿命が尽きるまで続けられました。その結果、「何が長生きに結びついているのか」の興味深いデータが浮かび上がってきたというわけですね。