男性は既婚者だと長生きする

ここでは多くを紹介できないのが残念ですが、たとえば、「子どものときに『明るくてポジティブな性格』だった人は早死にの傾向が強かった」「老後にのんびりした暮らしを選択すると早死にの傾向が強まる」「愛されているかどうかは寿命には関係なかった」といったように、かなり意外な結果も報告されています。

気になる方は邦訳の書籍(『長寿と性格』ハワード・S・フリードマン、レスリー・R・マーティン著 桜田直美訳 清流出版)も出ているのでチェックしてみてください。

なお、この「長寿研究」の中で、私がいちばん興味を引かれたのは、結婚・離婚状況と男女の寿命に関しての報告です。

これによれば、男性に関しては、独身の人よりも結婚している人のほうが長生き率が高く、とくに「ひとりの妻と生涯連れ添った男性」は長生きする傾向が強かったそうです。また、離婚して独り身になってしまった男性や妻に先立たれてしまった男性は早死にしてしまう傾向が顕著だったそうです。

この結果からすれば、やはりパートナーと一緒に暮らすことは大事なんだなということになりますよね。

一方、女性は離婚すると長生きする

ところが、一方の女性はというと、夫と離婚したり夫に先立たれたりしても、ほとんど寿命に影響がないという結果が出たのです。しかも、離婚組の女性は、離婚組の男性よりもはるかに長生きであり、むしろ、夫と別れてからのほうが健康にいきいきと人生を送る人が多かったといいます。

つまり、熟年離婚でもしようものなら、男のほうはあっけなく早死にしてしまう可能性が高いけれど、女のほうは変わらないか、逆に長生きする傾向が強まるというわけです。

こうした差が出る理由を私なりに分析するならば、男女の社交性の違いや生活能力の違いが影響しているのではないでしょうか。

一般に男性は社交性が乏しく孤立性を高めやすい傾向があります。男性ホルモンのテストステロンには「問題を抱え込んでも自分ひとりで解決する」という傾向を強める働きがあるのです。このため、妻がいなくなると、誰にも助けを求めずひとりで家に引きこもり、社会から孤立してしまう傾向が強い。

しかも、中高年の男性には、それまで家事を妻任せにしてきたために、料理、掃除、洗濯などの作業に苦労する人が少なくありません。きっと、食事もいい加減になるでしょうし、ストレスや疲労もたまるでしょう。こうした状況から、病気になったり体調を崩したりして早死にしてしまうケースが多くなるわけです。