最近、「もの忘れ外来」にスマホのヘビーユーザーがたくさん訪れているという。医学博士の奥村歩氏は「スマホが手放せない人ほど脳が疲れて、もの忘れやうっかりミスが増えてしまうのだろう」という——。(第4回/全5回)
※本稿は、奥村歩『「朝ドラ」を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか?』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
「スマホ脳」とは何か
私が経営しているクリニックに設置した「もの忘れ外来」には、脳疲労や脳過労(脳が疲弊してしまった状態)の方も数多くいらっしゃいます。じつは、そうした患者さんの中にはスマホ、タブレット、パソコンなどのヘビーユーザーがとても多いのです。
こうした方々のほとんどは、スマホなどの機器に接している時間が非常に長く、ネットを通してひっきりなしに多くの情報をインプットしています。すなわち、インプットする情報量の膨大さに脳の処理能力がついていけず、連日連夜のオーバーワークで脳を疲弊させてしまっているのです。
私は、こうした「スマホなどの過剰使用で疲れきってしまった脳」を「スマホ脳」と呼んでいます。
スマホ脳になる人には、ごく一般の主婦やサラリーマンも少なくありません。なかには以前から「スマホ依存」「ネット依存」の傾向があった人もいますが、むしろ、以前はちゃんとメリハリのある普通の生活をしていたのに、いつの間にか「スマホの情報漬けの世界」にずぶずぶとハマり込んでしまっていたというケースが目立ちます。