なぜ、消費税率10%が実現したか

10月1日、消費税率が8%から10%に引き上げられた。これは、わが国の財政健全化にとって非常に意義のあることといえる。その意味では、今回の消費税率引き上げで最も大きなメリットを享受できたのは財務省ということになるだろう。

写真=朝日新聞社/時事通信フォト
キャッシュレス決済で5%還元するポスターを掲示する写真店=2019年10月1日、大阪市住吉区

わが国の財政悪化の大きな要因として、急速に少子化と高齢化が進み、社会保障費が急増していることがある。1990年度と2016年度の歳出と歳入を比較すると、歳出面では社会保障費が約12兆円から34兆円に増えた。この間、歳入面では公債金が約6兆円から32兆円に膨らんだ。社会保障制度の維持において、公債金以外の財源確保は喫緊の課題だ。この課題に対応すべく、政府は国民全体がなるべく公平に負担し、かつ、景気変動からの影響を受けにくいという点で消費税の引き上げを重視してきた。

今回の消費税率引き上げに関して、政府は駆け込み需要とその反動減による景気の変動を抑えるためにさまざまな対策を講じてきた。その点に関しては、2014年4月の税率引き上げ(5%から8%へ)をはじめ、過去の教訓をしっかりと生かしたといえるだろう。

しかし、ポイント還元措置をはじめ実施の方法に関しては、よりていねいな取り組みが求められる。実際、10月1日の引き上げ当日、多くの店舗などでシステム整備が間に合わないなどの問題が起きた。政府は経済の円滑な運営を目指し、複雑かつ込み入った制度を修正していくべきである。