▼消費増税は、税収を減らしかねない

消費増税よりも景気回復が財政再建の主因

まずお断りしておくと、私は「財政再建は必要であり、社会保障改革も必要である」という立場です。が、それゆえにこそ、消費増税には慎重であるべきだと考えています。

“8%”で起きたことを知ってか知らずか、“10%”を遂行する安倍政権。(共同通信イメージズ=写真)

第2次安倍内閣が掲げた経済政策アベノミクスの「三本の矢」の中に、「機動的な財政政策」があったことから、多くの人が「安倍政権は財政再建を軽視している」と誤解しているようですが、実際はその逆で、財政の健全性を示すプライマリーバランス(PB)の対GDP比は大きく改善しました。

安倍政権は民主党政権下での決定を受けて、2014年4月に消費税の税率を5%から8%へ引き上げました。一般にはこれがPB改善の主要因であるという誤解があるようです。

実情は異なります。税収増の内訳を見ると、一般会計税収が43.9兆円であった12年度と比べ、18年度の税収は59.1兆円と15兆円以上増えていますが、この税収増に占める消費税税収の増加分は7.2兆円であり、消費増税による税収増よりも、実は景気回復による自然増のほうが8兆円超と大きいことがわかります(図参照)。消費増税による経済の腰折れがなければ、税収の自然増はさらに大きくなっていたはず。財政再建の主因は、消費増税ではなく、景気回復だったのです。