経済に与えるマグニチュードをできるだけ小さく
それができれば、人々はポイント還元や軽減税率に徐々に慣れることができるはずだ。政府にとって、人々が増税対策に習熟しやすい環境を整えることは、税制の変更が経済に与えるマグニチュードを可能な限り小さくしつつ、社会保障などの財源を確保するために重要だ。
わが国の財政状況を考えると、将来、消費税率がさらに引き上げられる可能性は排除できない。そのほかにも、年金や医療などの分野で、さまざまな改革が進められていくだろう。そう考えると、今回、政府が予定した通りに消費税率の引き上げが実現されたことは、政策当局にとって大きな成果といってよい。それは、国民生活の安定を維持していくうえでも欠かせない。
政府は、財政の再建と社会保障制度の維持のために、できることを、時間をかけて、ていねいに進めなければならない。そのために、増税直後に起きたトラブルなどの教訓を積極的に活用し、消費の現場に過度な負担が生じないようにすることが大切だ。