「東洋×、早稲田○」「明治×、東大文2○」というミラクル
私立大学文系の入試が近年、異様なほどに難化している。
主な要因は、文部科学省の指導による大学入学定員の厳格化だ。各大学は定員よりも多い合格者を出した場合、一定の割合に応じて私学助成金がカットされるようになったため、大学側は合格者を絞るようになった。これが「異様なほどの難化」につながっている。
そして、この難化現象と並行するように、かつてはほとんど見られなかった合否事例を耳にするようになった。例えば、都内のある進学高校の男性教員は、今年の受験シーズンの終わり頃に僕にこう言った。
「ウチの学校で、駒澤大学には落ちたけど、立教大学には受かった子が複数人いて驚きました。逆に立教大学に十分合格できる実力の子が不合格で、駒澤に拾われたケースもありました。私文(私大文系)に関しては、正直、だれがどこに受かるのか、全然予想がつきません。こんな経験は教師になって初めてです」
また、僕とは異なる大学予備校に出講する知人の講師はLINEでこんなメッセージをくれた。
「あまり成績のかんばしくなかった生徒が案の定、専修大学がダメで、暗い気持ちになっていたんだけど、なんと明治大学には合格した! これは奇跡! 感動した!」
その他にも「東洋大学にすべって早稲田大学に合格」。さらには「明治大学政治経済学部には不合格だったが、東京大学文科二類には合格した」といったミラクルも起きている。
大学ランクのヒエラルキーは有名無実化しつつある
これまで予備校の教壇に長年立ってきた僕を含めた講師陣、また高校教員や生徒のほとんどが次のような前提で大学受験をしていた。
↓早慶上智
↓MARCH(明治/青山/立教/中央/法政)
↓日東駒専(日本/東洋/駒沢/専修)
↓大東亜帝国(大東文化/亜細亜/帝京/国士館)
しかし、こうした大学ランクのヒエラルキーは徐々に有名無実化しつつある。その一端は偏差値にも表れている。