2019年度の首都圏の中学入試で、大学付属校の受験者数が大幅に増加した。特に顕著なのが「MARCH」の付属校の人気上昇だ。中学受験塾代表の矢野耕平氏は「この数年、私立大学が難化し、浪人生が増えている。このためMARCHレベルでも、中学受験で合格できれば安心という動きが強まっている」という――。

激化の一途をたどる首都圏の中学受験

2019年度の中学入試が終了した。

振り返れば、2008年のリーマンショックを境に年々受験者数の低迷が続いていたが、2015年度以降の5年間は年々受験生数が増えている。東京都・神奈川県の私立中学校がその入試を一番集中させる2月1日の受験者数動向を見てみよう。

大学浪人が増えているから中学受験させる

なぜ、いま中学受験が再び活況を呈しているのか。

考えられる要因を5点挙げてみよう。

(1)「中学受験熱」の高い都心部の小学生の数が増加していること。
(2)いまの小学生の保護者世代は1990年前後の「中学受験ブーム」の頃に小学生である場合が多く、自身も中学受験を経験している可能性が高いこと。→中学受験に対する抵抗感が少ない。
(3)上記の項目と関連するが、祖父母の中学受験への経済的支援が得られる場合が多いこと。→「教育資金贈与の非課税」制度もそれを後押ししている。
(4)2020年度あるいは2024年度からの大学入試改革への不安が高まっていること。
(5)2016年度より実行された文部科学省による「大学合格者数抑制策(定員の厳格化)」により、主として首都圏の私立大学が難化していること。→これに伴い、浪人生が増加している。

(4)・(5)については、プレジデントオンラインの記事(2017年12月2日「早慶明の付属に熱視線 お受験母の皮算用」)で解説した。あわせて参照してほしい。