※本稿は、「プレジデントFamily2019年冬号」の掲載記事を再編集したものです。
安浪京子さん
カリスマ中学受験家庭教師。大手塾で算数を担当し独立。これまでに多数の親子を難関校はじめ志望校に導いた。3年先まで予約が埋まっている。
杉渕鐡良さん
スーパー小学校教師。やる気を引き出す授業に定評があり「教育の鉄人」と呼ばれている。現在は東京都北区梅木小学校教諭。
■NG声かけ1 「なんでわかんないの!」
「前に習ったはずなのに」「授業中先生の話を聞いていないかもしれない」などの思いも出てきて口にしやすい言葉だが……。
「高学歴の親御さんに多いですね。自分は子供時代に解けたはずなのに、なぜわが子は解けないのかといらだつのでしょう。結構きつく言う親御さんもいますが、子供は責められていると受け取り、萎縮しちゃいます」
と中学受験をする数々の家庭をサポートしてきたカリスマ家庭教師の安浪京子さんは言う。大事なのは、責める口調にならないように、親が子供のわからないところを一緒に探ること。子供は大人が思いもしないところでひっかかっている場合が多い。
「高学年の子が、三角形の“高さ”がどこを指すのかわかっていなかったことがありました。大事なのは、ばかにしないこと。『そんなこともわかっていないの!』ではなく『そうだったんだ?』と冷静に受け止めましょう」(安浪さん)
公立小学校で多くの親と接してきた杉渕鐡良さんも次のように話す。
「『どこで間違えたと思う?』と間違えたポイントを確認するつもりで聞きましょう。本人も気付いていないので、間違いの原因に気がつかせてやるといいですね。3ケタの計算を間違えていたら、一の位、十の位、百の位と順にやっていけば、どこでミスをしたか自分でわかりますよ」
■NG声かけ2 「速くしなさい! 正確に!」
計算では“速く”“正確に”が大切。計算に取り組むわが子にコツを伝授するつもりで、この2大ワードを言ってしまうが……。
「言葉が非常に漠然としています。どうすれば速く、正確にできるか、具体的な方法が子供にはわからないのです。言えば言うほど、子供はあせってしまい、ミスをしたり、字が雑になったりして、さらに怒られて……」
と安浪さんは子供の気持ちを分析する。速く、正確に解くには、まず解き方や計算の手順を子供がわかっているかどうか確認すること。
「たとえば61÷9など余りのあるわり算は苦手な子が多い分野です。この問題を解くには、九九の9の段が頭に入り、かけ算をして、繰り下がりのあるひき算をする必要がある。一問を解くのに、三つものトラップがあるわけです。どこで手が止まるか見つけてください。つまずきを解消してこそ、速く正確に解けるようになるのです」
安浪さんは、高学年の子でも初めて指導する子には、繰り上がり繰り下がり、九九の6、7、8の段がスラスラできるかを必ず確認するそうだ。
「(テストや宿題で)見直ししなさい!」と言うのも子供にとっては漠然ワード。たとえば文章題なら、「答えに単位をつけたか、提出する前に見よう」など、具体的に説明するといいだろう。