悪質タックルは日本大学の付属中学校を「直撃」した
先ほど、中堅・上位の大学付属中学校が人気を博していると書いたが、例外がある。日本大学の付属校である。昨年5月に大きな話題となった「日大アメフト部」の悪質タックル問題の影響である。これは、タックルそのものが問題視されたわけではない。実名と顔を公開して実直に謝罪する選手に対して、監督やコーチ、そして、大学側が選手を守ろうとするどころか「保身」に回ったことが問題視されたのだ。
一連の問題は日本大学の付属中学校を直撃した。数学講師で教育クリエイターの秋田洋和氏はこう見る。
「あの日大アメフト問題に見られた体質・暴力は、80年代の公立中学校でよく見た光景であると感じた人が多かったのでしょう。だからこそ、(付属高を含む)日本大学に対して嫌悪感を抱いた小学生保護者が続出したと推測しています」
付属校人気は来春以降も続くことはまちがいない!
では、来春以降の中学入試動向はどのようになるのだろうか。
明確に言えることは、「付属校人気」は来春以降もしばらく続くということだ。まだすべてが終わったわけではないが、2019年度の大学入試は昨年以上に「厳しい選抜」がおこなわれたらしい。
河合塾現代文講師の小池陽慈氏は語気を強める。
「2016年度からの『定員厳格化』の影響は大学入試を難化させています。たとえば、数年前であれば現役で早慶に合格できただろう受験生がどんどん不合格をくらってしまい、もう一度早慶を目指すために浪人の道を選んでいます。その浪人生たちと現役生たちが熾烈な争いを繰り広げているのです。わたしが問題だと考えているのは、難化しているのは早慶だけではない点です」
「2019年度はGMARCH、成蹊大学、成城大学、明治学院大学、獨協大学、国学院大学、武蔵大学、そして日東駒専(日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学)をはじめ中堅大学もかなり狭き門になっていると感じます。とりわけ文系学部は激戦が繰り広げられています」
小池氏によると、一時は人気が低迷した私立女子大学各校も大勢の受験生が詰めかけているという。
この大学入試の厳しさに加え、いまだに全貌の見えない大学入試改革。小学生の保護者はわが子に「安定」を求める傾向にある。今後もしばらく大学付属校に人気が集中するのはまちがいないだろう。