「学費は高いがお得」大学附属の中高一貫校の人気が沸騰中
大学附属の私立中高一貫校の人気上昇が止まらない。
来年2月に東京、神奈川で本番試験を迎える中学受験。3万7000人以上が私立中学を受験するが、その腕試しとして、11月に多くの子供が大手中学受験塾・四谷大塚主催の全国模試(「合不合判定テスト」)を受けた。その結果、エスカレーター式に大学まで進学できることが多い大学附属校、とりわけ「GMARCH」の附属校の志願者数が昨年比で大幅に増えたことがわかった。
「GMARCH」とは、学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学の総称。「早慶」(早稲田大学、慶應義塾大学)あるいは「早慶上理」(早慶、上智大学、東京理科大学)に次ぐ難関大学とされている。
例えば、2月1日、2日に試験が行われる大学附属校を取り上げてみると、男子は以下のように志願者数が増えている。
青山学院(127%:175人→222人)
立教池袋(129%:136人→176人)
中央大附属横浜(150%:72人→108人)
明大明治(113%:227人→256人)
法政大学中(118%:66人→78人)
明大中野八王子(112%:93人→104人)
女子も同様だ。
中央大附属(130%:113人→147人)
明大中野八王子(155%:66人→102人)
立教女学院(113%:141人→159人)
青山学院大学の合格者数:9504人(16年)→7313人(18年)
この模試を受けていない他塾の子供もいるので、実際の競争率はさらに高くなる。なぜ大学附属校の人気が過熱しているのか。理由は、「大学入試改革」と「首都圏の大学定員抑制」にある。
特に後者のインパクトは大きい。文部科学省が定員管理の厳格化を進めており、大規模大学は入学者が定員の1.1倍以上になった場合、助成金をゼロにされてしまうことになった。そこで、青山学院大学が9504人(2016年)→7313人(2018年)と合格者を減らしたように、今春の大学入試では私立大学が合格者を絞るようになり、不合格者が続出した。
これまでなら早慶に合格した生徒がGMARCHに流れ、これまでならGMARCHに合格した生徒が不合格になり、それより入りやすい大学へ。そして、翌年はさらに定員抑制が厳しくなることが予想されたため、今のうちに現役で入学しておこうという妥協が生まれた結果、辞退者が減り追加合格も抑制されるという状態になったのだ。
すると、これまで早慶やGMARCHに多くの合格者を出してきた進学校の中には急激に実績が下降した学校が出てきたのである。