河合塾が立ち上げたのは「最強のお買い得校」か?
来年2月上旬の中学受験本番に向けて、関係者の間で話題になっている学校がある。2019年春開校予定の中高一貫校「ドルトン東京学園」(東京都調布市)である。
注目度が高い要因のひとつは、大手予備校「河合塾」が運営する学校だということだ。前身は、目黒にあった中高一貫校の「東京学園」。商業学校として伝統ある同校を河合塾が買収し、学校経営に乗り出したのだ。
校舎は新築で、小田急線「成城学園前」からバスで数分の好立地。「有能な教師陣をそろえ、生徒の特性に合わせたキャリア教育を実践し、進学指導は国内外問わず力を入れていく」(6月の同校の説明会)という取り組みが実現すれば業界に新風を巻き起こす存在になることだろう。そうなると、気になるのは「入り口」の難易度である。
学校側は説明会で「これまで日能研さんや四谷大塚さんは『新設校』に偏差値45~50をつけています。本校もその程度になるのではないかと考えています」と話した。それを聞いた私を含む塾関係者は「謙虚すぎる」と感じた。
偏差値は現状43~45だが「すぐに55~60程度になる」
たしかに10月時点での日能研が設定した偏差値は43~45ではあり、どんなレベルの入学生が入ってくるかは実際に試験をやってみないとわからない。だが、長年塾講師を務める私の感覚では、「すぐに偏差値は55~60程度になる」と予測している。実際、「男女共学」「グローバル」「新校舎」といったキーワードを持つ最近の新設校は開校後、偏差値インフレが起き、「60」前後に到達することが多くある。
例えば、学校法人による中高一貫校の買収で記憶に新しいのは、「中央大学附属横浜」(横浜市都筑区)だ。前身は「横浜山手女子」で、偏差値は30台だった。それが共学化初年度から日能研偏差値で53~58を付けた。中央大学の附属校ということも追い風となり、堅調に受験生を集めた。数字だけ見れば、完全に別の学校に変身したことになる。
また、「青山学院横浜英和」(横浜市南区)も以前は女子校(横浜英和女学院)だったが、こちらも大学の系属校となり、さらに共学化することで偏差値が急上昇した。
上記2校と同様に、ドルトン東京学園も買収→移転→新校舎設立という同じプロセスを踏んでいる。校名に大学名はつかないが、河合塾が自ら乗り出しただけに学校や学習の「質」は一定程度担保され、すぐさま偏差値が上がるのではないだろうか。