「偏差値40台でGMARCH」は厳しい時代になった
大学附属校は受験人数だけではなく、偏差値も上昇傾向にある。
中央大附属、法政大学中、明大中野は、昨冬の受験では偏差値49で合格可能性50%だった。つまり、偏差値40台でも合格できたわけだ。しかし、来年の入試ではそうはいかない。四谷大塚によれば、中央大附属は偏差値51、明大中野は偏差値51と予想されている。偏差値40台でもGMARCHというのは過去の話になりつつある。
中学受験においてGMARCHなどの大学附属校に入れるというのは、極めて「お得感」が高い。中高6年間と大学4年間を私立で学べば確かに学費は莫大だ。
しかしながら、大学附属ではないほかの私立の進学校と比べると、大学受験をしない分、塾代も少なくて済む。また、もともと国公立大学は狭き門であり、近年は前述したように早慶上理どころか、GMARCHの合格も厳しくなっていて、勉強を一生懸命すれば合格できる保障があるわけでもない。それであれば、中学から附属校に入れてしまったほうがいい。ここにきてそのコストパフォーマンスの良さに気付いた保護者が増えたということだろう。
塾関係者注目「香蘭女学校」の人気が大爆発している理由
そんな中、今、塾関係者や保護者の間でもちきりの私立中高一貫校がある。
香蘭女学校中等科(東京・品川区)だ。昨冬までは2月1日の1回だけの入試で160人募集していたが、来年は2月2日の午後入試にも参入し計2回の入試を行うことになった。その影響で2月1日の定員は100人と減ったが、前出の四谷大塚の模試の結果から、志願者数がかなり増える見込みなのだ。
さらに、学校説明会において「2月1日は定員同等の合格者数しか出さない」と説明しており、競争が激化するのは必至だ。2月2日は60人定員のところ、四谷大塚の模試受験者だけで353人が志願している。今回の同校の試験では多くの子供が涙をのむことになるだろう。
いったいなぜ香蘭女学校がこれほどまでに注目されているのか。
実は「立教大学に卒業生の半数が進学できる」学校なのである。これは塾関係者の中では常識だが、一般的にはそれほど知られていない。
今春の香蘭女学校高等科の卒業生数は168人。80人の立教大学推薦枠があるので、約半数は立教大学に進学できる。本番試験での一発勝負で合否が決まる中学受験と比べると、中学に入ってからの学内の成績は年数回ある定期テストで決まるため、挽回可能だ。偏差値40台で香蘭女学校中等科に入学したとしても、6年間努力して学年で「真ん中より上」なら立教大学に進学できる、というのはかなり魅力的なものに映るはずだ。
しかも昨年度の場合、香蘭女学校高等科からは国公立大8人、早稲田大6人、慶應大2人、明治大2人、青山学院大2人、学習院大2人が進学している。168名人100人超が国公立大+GMARCH以上に進学しているのである。
昨冬は偏差値40台でも香蘭女学校中等科に合格できたのだが、来年は確実に厳しくなるだろう。2017年は偏差値46だった合格ラインは、2018年は48と上昇し、来年は2月1日入試が偏差値49、2月2日入試は偏差値55と予想されている。