年収1000万円近くになると、気分はすっかりお金持ち。だが実際の家計は大赤字。「どうしても出費が削れない」と悩む人は多い。改善にはなにが必要なのか。お金のプロが5つの「実物家計簿」にアドバイスをする。今回は「教育費」について――。(第4回、全5回)
※本稿は、雑誌「プレジデント」(2017年6月12日号)の特集「お金に困らない生き方」の記事を再編集したものです。
2人あわせた学費は年間260万円にも達する
小4、小2の姉妹をそれぞれ塾1つと習い事3つに通わせており、毎月9万6000円の出費である。6年間のんびり過ごせるという私立の中高一貫校に、子ども2人を通わせてやりたい。そんな親の願いが報いとなり、家計を蝕み始めていた。安田さん夫妻が相談に来たときは、すでに家計が破綻する寸前だった。
恐ろしいのは、これでも「まだ教育費地獄の入り口にすぎない」ということだ。長女は塾で中学受験用の進学クラスに入っているが、小4は夏期・冬期講習などを入れてまだ年80万円ほど。来年から年間100万円ほどの塾代を覚悟しないといけない。中高一貫校に合格後も、学費として年間100万~130万円が必要になる。
従って年間100万~130万円の教育費負担に耐える家計をつくることが喫緊の課題だ。しかし姉1人で、この教育費なのである。妹も中高一貫校に進学するとなれば、さらに倍。2人あわせた学費は年間260万円にも達してしまう。
こんな無計画な安田家。子ども2人を私立校に通わせるには、世帯収入が足りていないのは自明である。小4の段階で、毎月8万円超のマイナスが続いているのだから。安田さんも、こうして家計を「見える化」したことで初めて事態の深刻さに気がついたようだ。「俺に任せておけとは、とても言えない額です」と青ざめている。親に援助を求めることも検討しているというが、期待薄だ。
望みをつなぐ手段がないわけではない。だがとりいそぎ毎月の赤字を止めなければ、話にならないだろう。それも相当の痛みを伴った大手術である。