4月の学校の新学期より一足早く、中学受験塾の新学年が始まっている。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員の小川大介氏は「中学受験生の家庭には小学5年生以降、勉強の量の壁、体力の壁、難易度の壁の“3つの壁”が立ちはだかります。子供の睡眠を削るなど力業で対処しようとする親もいますが、もってのほかです」という。教育熱心な親ほどやってしまう、子供をダメにする言動とは――。
※本稿は、『プレジデントFamily2019春号』の掲載記事を再編集したものです。
勉強量は4年生を「1」として、5年生が「3」、6年生が「10」
▼教える人
小川大介さん
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員
プロ個別指導教室SS‐1を関西で創設、首都圏へ展開。コーチングと心理学を駆使した独自の指導法で実績を重ねる。
小川大介さん
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員
プロ個別指導教室SS‐1を関西で創設、首都圏へ展開。コーチングと心理学を駆使した独自の指導法で実績を重ねる。
学校では新年度は4月から。だが中学受験では、ひと足早く2月が新学年のスタートだ。毎年、この時期になると「学年が上がってから、成績が伸び悩んでいる」という相談が多く寄せられると、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員の小川大介氏は言う。
「新学年が始まったばかりのこの時期は“宿題が増えて終わらない” “テストの点数が大きく下がった” “新しい単元が理解できていない”といった相談が多いです。しかし、不安に思う必要はありません。この問題はどの家庭にも起きることなのです」
小川氏によると、この時期の受験生家庭には“3つの壁”が立ちはだかるそうだ。
「一つ目は“量の壁”です。受験塾では、学年が上がるごとに課題量が大きく増えていきます。4年生を『1』とすると、5年生が『3』、6年生が『10』という具合に、学年が上がるにつれて約3倍になっていくイメージです。学年が上がった途端、宿題が急に増えるので、驚かれる方が多いですね」
子供が伸び悩む「3つの壁」の正体
次に立ちはだかるのが、“体力の壁”だ。
「学年が上がると、塾の授業時間が増え、家庭で過ごす時間は減ります。リフレッシュのための時間が減りますし、塾の授業が難しくなることで1コマあたりの疲労度も上がります」
特に春は季節の変わり目で、体調も崩しやすい。メンタル面でも不安定になる要因が多くなってくる。
「クラス替えや担任が代わるなど学校での環境の変化も、子供のストレスの原因になります。こうした“気疲れ”も子供の体力を減退させる大きな要因になります。その結果、塾で集中力が低下したり、家で宿題に身が入らないといったことが起きてしまうのです」