教育熱心な親ほど「力業」で子供に壁を乗り越えさせて失敗

最後に“難易度の壁”だ。

「学年が上がると、問題の難易度が上がり、それまで通用していたテクニックでは、点が稼げなくなります。例えば国語の記述問題では、5年生の時には、傍線部の前後から拾って書くだけで正解となっていたものが、6年生では部分点すらもらえなくなったり、選択肢の問題も選択肢が絞り込みにくくなったりなど、求められる理解のレベルが格段に上がります。ここで点数を持ち直させるには、学習方法を一度見直す必要があります」

この時期にぶつかる三つの壁。対処法として避けたいのが、“力業”だ。

「焦るあまり親がやってしまいがちなのが、勉強時間を延ばして問題を解決しようとすること。しかし、体も未熟な小学生に、いきなり学習量を増やすのは無理があります。睡眠時間を削るのはもってのほか」

“3つの壁”は2カ月ほどかけてゆっくり対策していけばよいと小川氏は断言する。

「種明かしをすると、“学年が上がったから、学習法を見直せよ”という意味で塾が意図的にやっているのです。ですから、“睡眠時間を削る”といった力業で目先の学習結果を追うのではなく、新学年に見合った学習態勢を整えることに力を入れてほしいですね。2月から4月までの約2カ月間は、そのための調整期間だと思ってください。遅くとも4月末までに新学年の軌道に乗れば、安心して夏を迎えることができます」

3つの壁にどう対処するための具体的な方法

“3つの壁”に直面する際、変えていく必要があるのは次の三つだ。

まず“量の壁”については、学習時間と学習量の上限を決めてしまうのがおススメだ。

「家庭学習は、4年生なら自由に使える時間の15%、5年生なら40~50%、6年生では50~80%を目安にしましょう。どこでこの時間を捻出するのかを、親子で話し合ってください。これで宿題が終わらないようであれば、睡眠・休息時間の確保を優先し、塾に“何を優先的にやったらよいか”を相談してください」

もし理解しきれていない単元ができても、慌てる必要はないそうだ。

「塾の年間学習計画を見ればわかりますが、スパイラル式に同じ単元を繰り返し扱うカリキュラムになっているので、次のタイミングで追いつければ十分です。それでも不安な場合は、5月までの祝日をチェックし、そこで遅れを取り戻せるようにあらかじめ計画を立てておくとよいでしょう」