「こんな点数取って、ちゃんと勉強してるの!?」と小言を言う親

次に“体力の壁”については、1週間に一定程度の休息時間を設けてほしいと小川氏。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/FatCamera)

「塾の時間、学校の時間が増えているうえに、勉強の難易度も上がっています。勉強の量も質も上がって、子供の脳はいっぱいいっぱいです。ここに家でも勉強を詰め込んだら、キャパシティーオーバーで、何も定着しません。春のうちは、塾の増えたコマ数に徐々に慣れて、難しくなった授業をしっかり集中して聞けるように食事や睡眠に気を使ってください。また、週に3時間は子供が自由に過ごせる時間を確保しましょう。脳をリフレッシュする方法を見つけておくと、受験後半で生きてきます」

最後に“難易度の壁”だが、これについては子供の考え方そのものを変える必要がある。

小川氏によると、学年が上がるにつれ、“自分で学ぶ姿勢”がより強く求められるようになるという。

「4年生までは、塾で授業を聞き、真っさらな状態にどんどん新しい“知識”や“型”を入れていく段階です。テストも知っていれば解けるレベルです。5年生になると、その“知識”や“型” を使ってさまざまな問題を解きます。さらに6年生ではもう一歩踏み込み、どの“知識”や“型” を組み合わせて解くのか調べたり、人に聞いたりしながら自分なりに切り開いていく段階までステップアップしていきます。つまり、学ぶ際の意識を、受け身から主体的なものに変えていく必要があるのです」

子供の意識を変えるには、親の声かけが重要だと小川氏は言う。まずは子供に“勉強には質の良しあしがある”ということをしっかり認識させる必要があるようだ。

「子供がテストで悪い点を取ると、親はつい『こんな点数取って、ちゃんと勉強してるの!?』などと小言を言いたくなりますが、そこを我慢して『よく頑張ってるのに、点数がちょっと下がっちゃったね。どうしてだろうね?』と、まずは共感してやってください。嫌みではなく、一緒に不思議がってやるのです。点数につながらないのは、何か理由があるはだよね、と。そうすれば子供は“なんで点数が伸びないのだろう”と自分自身をふり返ります」

「(塾の先生に)こんなふうに聞いたら?」と質問の仕方を授ける

勉強に対する意識が変わると、自分より成績のいい子が“授業中どうやっているのかな” “ここの部分は知識があいまいだから、もう一回やり直したほうがいいかな”などと考えるようになるそうだ。

「できれば学習習慣の一環として、“塾の先生に質問に行ける”ようにしましょう。質問を通して、自分が何をわかっていないのか、どうやったら解けるようになるのか、頭の中が整理されます」

塾の先生に“質問に行く”のは、子供にとっては大きなハードル。勇気を振り絞って質問に行ったのに、“どこがわからないの?”と聞かれ、うまく説明できずに泣き寝入りするパターンも少なくない。

「そんなときには親が“こんなふうに聞いてみたら?”など、子供と一緒に上手に質問するための具体的なセリフを考えてやってください。どうしても質問に行きたがらない場合には、提出する宿題などに付箋を貼り、親御さんが先生宛てに質問内容を書いて、先生から子供に声をかけてもらうようお願いするといいでしょう。先生と子供との距離が縮まり、“質問”が習慣にできれば、自然と学習への主体性が身についていきます」