本番まであと2カ月となった来春の中学入試に「異変」が起きている。「大学付属校」の人気が過去最高になりそうだというデータが出ているのだ。どんな親子が付属校を選んでいるのか。その理由はなにか。中学受験専門塾代表の矢野耕平氏が考察する――。

中学受験戦線に「異変」来春は大学付属校が大人気!

来春の中学入試の志願者動向に「異変」が起きている。

志願者数が昨年に比べて激増している学校の多くが「大学付属校」なのである。以下のデータは、昨年と今年の10月に実施した4大模試(四谷大塚・日能研・SAPIX・首都圏模試)にて、昨年比で志願者を伸長させているベスト20の学校を挙げてみよう(2月1日午前入試実施校のみ)。

20校のうち、青字(1位、7~10位、13位慶應、15~17位、19~20位)で示している「大学付属校」および「大学準付属校」が11校と高い比率で登場している。さらには、ここには登場していないほかの大学付属校も軒並み志願者数を前年比で増加させている。

これは近年見られなかった現象だ。大学付属校がここまで人気を博しているのには一体どんな理由があるのだろう。大きく2点に分けて説明したい。

▼小学6年の子の親が今、「エスカレーター式」で大学に行かせたい理由

以前、このプレジデント・オンラインにて2020年に実施される大学入試改革について言及したことがある(『2020大学入試改革は「骨抜き」にされた』/http://president.jp/articles/-/22124)。

従来の「知識偏重型」から「思考力・判断力・表現力」をチェックする入試に切り替えようという大学入試改革は、2020年度と2024年度の2段階でおこなわれる。とりわけ後者のほうでドラスティックな変化が予測されている。

2024年度は「新学習指導要領」で高校3年間学んだ子どもたちが大学入試を迎えるタイミングであり、この指導要領改訂に合わせた新科目が入試で出題される可能性が高いからだ。

さて、この2024年度大学入試に挑むのは、現小学校5年生である。

つまり、現在小学校6年生の子どもたちが2023年度の大学入試で進学先が決まらず、浪人して2024年度入試を目指すのならば、前年度の入試とは全く異なる新たな入試対策を講じなければならない。これは大変だ。

こう考えると、来春の中学入試で大学付属校が人気を博しているのも合点がいく。エスカレーター式に大学進学ができるのならば、大切なわが子が大学入試改革の波にのみ込まれてしまわずに済む。保護者の多くはそう考えるのだろう。