中学受験の本番まであと少し。親子とも緊張してしまい、思うような結果が出ないこともしばしばです。一方で、普段以上の実力を出して「逆転合格」を勝ち取る親子もいます。中学受験家庭の相談を受けてきた教育エッセイストの鳥居りんこさんは「逆転合格をする子の親は、総じて子どもとのコミュニケーションが豊富で、子どもをノセるのがうまい」と話します。いったい、どんな声をかけるのか、鳥居さんに聞いた――。
*語り手の鳥居りんこさんは、発売中の雑誌『プレジデントFamily2018冬』号で、中学受験直前で不安やイライラが大きくなる受験生の母親に「心が穏やかになるアドバイス」をしている
母の念力フレーズ1:
「あなたは本番に強いから絶対大丈夫」

いよいよ12月に入り、小学6年生の「関ケ原」は目の前です。中学受験に向け、何年もかけて準備して、遊ぶのを我慢して勉強してきたわが子。その結果がもうすぐ出ると思うと、受験する本人よりも母のほうが、興奮してしまったり、不安にかられたりしていることでしょう。中学受験は、子も初めてなら、母も初めてというケースも多いに違いありません。

きっと栄養や健康、時間の管理、プリントの管理・分析など精いっぱいのサポートをしている分、わが子が緊張感のない態度を見せるとついカッとなってしまうことも増えるでしょう。気づけば、「バカ」「産まなきゃよかった」「受験なんかやめちまえ!」「こんなんじゃ、どこにも受からない!」「いくら金かけてると思ってる!?」などと暴言を吐いてしまう母も珍しくありません。

でも、ちょっと待ってください。

まだ12歳の子どもが、曲がりなりにも目標をもって頑張っているのです。学校の授業を6時間目までしっかり受けたあと、残業サラリーマンのようにとっぷり夜が暮れるまで塾で机に向かっているわけです。その後、宿題もこなさないといけないわけです。

▼母が念力で「いける! いける!」と子どもをノセる

母から見ていろいろと足りなくても、そこはぐっと堪えて、「難しいよね」「疲れるよね」「でもあと少しだね」と寄り添い、このような魔法の言葉をかけるのが正しい。

「(成績が今イチだった)模試は模試。あなたは本番に強いから絶対大丈夫」

言うまでもなく、「たった1点の差」で合否が分かれる非情な世界ですから、「いける! いける!」と子どもをノセて、念力で合格をもぎとるぐらいの強い気持ちが母親には必要なのです。

だから、「もっと前からやっていれば……」と過去を悔やんでいる場合ではありません。また、まだわからない未来(合格)を不安に思っても仕方ありません。「今を生きる」ということに親子で集中してみましょう。

そして、タイミングよく気分転換させてあげる。それが、思ってもみなかった「逆転合格」につながることがよくあるのです。