全ての親は「良かれ」と思って子どもを育てるが、そんな親心が裏目に出ることも多い。教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこ氏は「子育てに必死になる前に、自分自身が成長できているかを考えたほうがいい」という。子育てを成功させるために、「してはいけないこと」とは――。

29歳の息子が不祥事を起こすと親が糾弾される日本

年末恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」が発表された。大賞は「インスタ映え」だったが、筆者が、「教育・子育て」関連で最も印象に残っている2017年のフレーズは何かと申せば、これしかない。

「それが逆に嘘つきになっちゃったんでしょうかね」

これは今年10月、タレントの清水良太郎容疑者(29)が覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕されたという報を受け、父親である清水アキラさん(63)が謝罪会見の最中に声を振り絞るようにして答えた言葉である。

「私の育て方がダメだったと思います。ウチは人のウチ以上に厳しくて、なんかあれば引っぱたいたりもしてたんで、それが逆に嘘つきになっちゃたんでしょうかね。(親に)怒られちゃ嫌だから、そうやって嘘をついてきたんじゃないでしょうかね」

テレビカメラの前で、清水アキラさんはこのように涙声で話した。29歳の息子の不祥事を、親が謝罪するというのは“わが国固有”のことではないだろうか。この世にいる限り、わが子のことは親に責任がある。そんな風潮はこの国の子育てをより一層やりにくくしている。清水さんの一件で、私はとてもやるせない気持ちになった。

▼子育てを「迷宮化」させてしまう母親

親は全員、「良かれ」と思って子を育てている。しかし、その結果が悪いと「親の育て方が悪かった」と世間から非難されてしまう。「甘くし過ぎず、厳しくし過ぎず」という子育てのベストポジションを探り当てることは本当に難しい。

私は日々、子育て真っ最中の母たち、あるいは子育てを終えた「卒母」たちと交流している。その中で感じることは、世の中には「子育て上手な母」と「子育て下手な母」がいるということだ。

「子育て上手な母」は一筋縄ではいかない子育ても、はた目で見ると楽々とクリアしているように映る。しかし、「子育て下手な母」は早急なサポートが必要だ。サポートがなければ、どんどん子育ての「迷宮」に迷い込んでしまう。

私に「子育てがうまくいかない」と言って、泣きながら話をする「迷宮母」たちには、ある共通点があるようにも感じている。聞けば、子どもは確かに問題を抱えているが、より深刻なのは母というケースも少なくないのだ。

今回は、そんな「迷宮母」の特徴を5つ紹介したい。もし同じような悩みを抱えたときには、次の対策を試してみてほしい。