思春期の子供は難しい。尾崎豊が『15の夜』で歌ったように、暴力衝動をもつ中高生は少なくない。子育て関連の相談を受けている鳥居りんこ氏は「思春期の子供に対してやってはいけないのは、正面から向き合うこと」と話す。わが子を「こじらせ」から救う3つのポイントとは――。

尾崎豊『15の夜』のように荒れる思春期のわが子

筆者は子育て関連の相談を受けることが多いが、その中でも思春期の相談がダントツに多い。親にとって、子の思春期は幼少期以上に対応に苦慮するもので、その相談も深刻なものになりやすいのだ。しかし、何事も傾向と対策である。今回は彼らの生態を考察しながら、その対応策を探ってみよう。

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思春期の子どもたちが不安定である理由は、2つある。

まず第1に、第二次性徴期特有のホルモンバランスの“乱れ”。言ってみれば、体が「おたまじゃくし」から「カエル」になりかけているような時期だ。

ホルモンの発生や働きは本人にはコントロールできない。それだけでもやっかいなのに、自分がおたまじゃくしでもカエルでもないグロテスクな姿形に映る。極めて容認しがたい状態に置かれる。それがストレスとなって心のイライラを大きくすると私は推察している。

▼親の常套句「もう○○なんだから」は逆効果

第2の理由は、中高生に対する「大人社会」の対応が今までとは違った厳しいものになることだ。ちょっと前まで「子ども」であったときに許されていたことが大目に見てはもらえない。「もう中学生なんだから!」などと親は激励とも叱責ともつかない言葉を発する。それに面食らうのだろう。

この親の常套句は、「もう受験生なんだから」「もう高校生なんだから」「もう就活でしょ?」「もういい加減、結婚しないと」「もうそろそろ赤ちゃんは?」といったわが国特有の「年齢で一律に区切っていく風土」が影響していると推察される。「もう~だから」で迫って来る強固なシステムに迎合できない子にはかなり生きにくい社会になるはずだ。