なぜ親は「○○らしくしろ」と子に言ってしまうのか

子が大人へと急成長していくこの時期、多くの親も混乱状態となる。思春期の子が珍しく「大人」として振る舞えば「子どものくせに」と言うけれど、未熟なままでいると今度は逆に「子どもじゃないんだから!」と言うのはお決まりのことだが、それが彼らの不安定な体と心を一層揺らしてしまうことになるのだ。

写真=iStock.com/tommaso79

子どもが「ほっといてくれ!」という態度を示したにもかかわらず、その直後に親に甘えてくることがある。子自身が「自立したい⇔庇護してほしい」の中で揺れ続ける状況に陥るのはしかたがないことだろう。だから、前述したような常套句や矛盾した言動を大人はしないよう注意したほうがいい。でないと余計にアンバランスな心理状況に追い込んでしまう。

▼親の「べき・ねば」理論に子は反発する

だが、そうであると親もうすうす感じているにもかかわらず、「らしくあれ」という強迫観念をあおるような言葉を不用意に投げ込んでしまって“炎上”することもしばしばだ。

「中学生らしく」「高校生らしく」「男らしく」「女らしく」。あるいは「普通でいろ」「ちゃんとした大人になるために」……。「らしく」も「普通」も「ちゃんとした」も、その定義を上手く答えられる大人はたぶんいない。それなのに、そのはっきりとわからないものに対して、大人は「こうあるべきだ」「こうあらねばならない」という「べき・ねば」理論の説教をしてしまうので、ますます子どもは反発し混乱してしまうのだ。

結局のところ、彼らの対抗手段は押し黙るか、反発するかの二択しか残されない。「思春期」はこうした悩ましい状況にあるのだということを、まずは大人が認識しなければならない。

その上で、思春期問題に悩む親御さんに次の3つを対策法としてお伝えしようと思う。