藤井聡太四段の快進撃から、いま将棋が再び注目を集めています。バラエティでもおなじみになった「ひふみん」こと加藤一二三さんは、「子どものうちから将棋を始めると、たくさんのメリットがある」と説きます。「ひふみん」が考える、将棋の有効性とは――?

子どもに将棋を習わせたい親たちが急増中

こんにちは、「ひふみん」こと、加藤一二三です。

最近はおかげさまで、さまざまなテレビ番組に出演させていただく機会も増え、またCDデビューや、書籍の執筆(近著『天才棋士 加藤一二三 挑み続ける人生』日本実業出版社)など、たくさんのことに日々取り組んでいます。

『天才棋士 加藤一二三 挑み続ける人生』(著・加藤一二三/日本実業出版社)

もちろん、私の今までの将棋人生から得たことを新しい世代に何かしらの形で伝えることも、忘れてはいません。うれしいことに、藤井聡太四段の大活躍をはじめとした将棋ブームによって、最近は「子どもに将棋を習わせたいのですが、どうしたらいいでしょうか?」というご質問をくださる親御さんが増えてきました。街の将棋教室も大変な賑わいのようで、「場所が足りない!」「先生が足りない!」といううれしい悲鳴を上げていると聞いています。

テレビ番組の中でもお話させていただいていますが、将棋は素晴らしい芸能文化です。子どものうちから将棋を始めることで、筋道を立てて考えられたり、集中力を楽しく身に付けられたり……など、たくさんのメリットがあります。今回、この場をお借りしてそのお話をさせていただければと思います。

▼メリット1 集中力が身に付く

だまって集中し、次の一手を考える。相手が思った通りの手を指してくれば、「よし! 読み通り! 油断せずにやろう!」。思ってもみなかった手を指してくるなら「あっ! そんな手があったのか!? 次の手をどうしよう……?」。そんなふうに一手一手を真剣に指すことで、目の前のことに深く取り組む集中力を養うことができます。

▼メリット2 しっかりした挨拶や礼儀が身に付く

対局を始めるときにはしっかりと姿勢を正して、相手の顔を見て「お願いします!」と頭を下げる。対局中は盤の前でちゃんと正座をする(もちろんつらい場合は崩しても大丈夫です)。負けてしまった時は、やはり背筋を伸ばし相手の顔を見て「負けました」と頭を下げる。このように将棋には守るべき礼儀や挨拶が、たくさんあります。

相手への敬意を持って対局を重ねていけば、そうしたものが自然に身に付いていきます。