介護体制を整えるべき“老親の異変”

年末年始、ご実家ですごされた方もおられたのではないでしょうか。久しぶりに会った親御さんはお元気でしたか?

「少し見ないうちにずいぶん足元がおぼつかなくなったなあ」
「親父とおふくろ2人だけなのに、こんなに醤油を買い込んでどうしたんだろ」
「冷蔵庫を開けたら異臭、奥の方から腐ってとろけた長ネギが」

などということはなかったでしょうか。そして正月早々に余計な口出しをして親子げんかになるのも嫌だから、と見て見ぬふりして帰ってきてしまった、などということはなかったでしょうか。

温かいこたつとみかん
写真=iStock.com/stoickt
※写真はイメージです

もしそのようなことをご実家で経験したら、早急に介護体制を整えなければならないサインだと思いましょう。高齢になれば程度の差や速度に違いはあろうとも、多かれ少なかれ、遅かれ早かれ、脚力をはじめとした筋力低下や認知機能の低下は、誰にでも起こり得ます。

ご夫婦であれ、すでにどちらかお亡くなりになってお一人で住まわれているのであれ、たとえ今は誰の助けも要らず自力で生活できていても、いつかは必ずそうはいかなくなるときが訪れます。それは徐々にとはかぎりません。急に訪れることも十分あり得るのです。

拙著『大往生の作法 在宅医だからわかった人生最終コーナーの歩き方』でも触れましたが、「そのとき」の備えについて、帰省のときこそ親子、家族で話し合っておくまたとないチャンスであると言っても良いでしょう。

日本の会社の「休みにくさ」問題

さて前回の記事では、体調不良となった場合の「休み方」の話題を取り上げました。

日本は先進諸外国のなかでも、有給休暇のほかに賃金保障されるシックリーブ制度の導入がもっとも遅れている「世界でもっとも休みにくい国」であることをお示ししましたが、それには非常に多くの読者の皆さんから反響をいただきました。

今回は、同じ「休みにくさ」でも、体調不良ではなく、家族(多くの場合は親でしょう)の介護に充てる休みについて取り上げてみましょう。体調不良時の休みにくい構図と奇しくも似た構図が、そこにはまざまざと見えてくるのです。

まずは介護にかんする事実関係から整理しておきましょう。

昨年は団塊の世代が75歳以上となる「2025年問題」が注目された年だったこともあって、現役世代のビジネスパーソンが親の介護を担う「ビジネスケアラー」というワードもよく耳にするようになりました。

耳にするだけでなく、これらのビジネスケアラーが爆発的に増加している現状ですから、読者の皆さんのなかにも、じっさいに家族介護の渦中にいらっしゃる方もおられることでしょう。

かくいう私もそのひとりです。

夫婦2人暮らしの老親はまだ寝たきりではなく排泄も自力でできているため介護需要は現時点ではそれほど多くないものの、冒頭に挙げた「異変」にはずいぶん前から気づいていました。介護サービスを利用しながら、また妻の多大なる協力も得ながら、私自身も医師として診療・教育・研究にたずさわるかたわら、ほぼ毎週末は実家通いの生活です。