合格率はわずか7%。難関の実用数学技能検定1級に最年少(13歳)で合格した中学2年生がいる。“天才数学少年”はどのようにして育てられたのか。母親が徹底したことは「けなさない」「言い訳しない」「共に学ぶ」という3点だった。子どもの「得意」を伸ばすコツとは――。

*菅原響生くん(2003年3月1日生まれ)。両親と4歳上の姉がいる。母親の淳子さんによれば「娘が好きな絵画展を見に行く時は息子も連れて行くし、逆に数学のイベントには娘も連れて行きます。家族が好きな事は共有して一緒に楽しむ事が大事です」。(写真提供=菅原淳子さん)

史上最年少で実用数学技能検定1級に合格する快挙

「実用数学技能検定」をご存じだろうか。

数学・算数の実用的な技能(計算・作図・表現・測定・整理・統計・証明)を測る記述式の検定で、「日本数学検定協会」が年3回実施している。受験資格はなく、だれでも受験できる。難易度は15階級にわかれており、おもに数学領域である1級から5級までを「数学検定」、6級から11級、それに幼児向けのかず・かたち検定までを「算数検定」と呼称している。最難関の1級は「大学程度・一般」とされていて、合格率は7%程度だ。

その1級に昨年、千葉市内の公立中学2年生の菅原響生(ひびき)くんが、最年少となる13歳で合格した。

天才数学少年である響生くんは、いったいどのような家庭で育ったのか。ツテをたどり母親の淳子さんに話を聞くことができた。今回はその子育て方法について紹介したい。

▼1歳半でインターネットのURLを自分で入力

母親の淳子さんによると、響生くんは1歳のときから理数系に強い関心があったという。1歳半で、インターネットのURLを自分で入力してアクセスしたといいうから驚きだ。小学4年生のときにはプログラミングも始めたという。

実は、筆者の息子も無類の数学好きだ。現在、国立大学で数学を専攻している。公文式で先取り学習をした効果が出たのか、小学3年生までに中学の学習課題を終了。数学が好きな息子は、夢中になると何時間でも没頭する。本人いわく「数学はパズルや謎解きのようなもので、解くことは自分にとって遊びであり、とても楽しいもの」なのだそうだ。

しかし、数学少年は誤解されやすい。

息子は友達が外でサッカーをしていても、部屋の中で問題を解き続けることが何度もあった。本人は楽しんで解いていても、周囲には「勉強させられている」と映る。私自身、何人もの母親仲間から「勉強ばかりさせてないで、外で遊ばせないと」と言われた。問題を解いているほうが楽しく、そんな時は外に出たがらないのだけれど、それを理解してくれる大人はあまり多くはない。

そんな経験をしているため、響生くんが育った家庭環境に興味があった。