「私は褒めないんです。でも、けなしません」

▼子どもを伸ばすために親ができること1
「あまり褒めないが、けなさない」

「子どもをけなさないようにしています」

最初に淳子さんはこう言った。淳子さんは子どもの能力を引き出すために、響生くんを相当褒めて育てたのではないかと思っていたが、違った。

*11月下旬に国立研究開発法人 科学技術振興機構が主催した日本最大級のサイエンスコミュニケーションイベント「サイエンスアゴラ2017」で、科学や数学などを含む第一人者の前で響生くんは堂々とプレゼンテーション。テーマは「2の20乗」。(写真提供=菅原淳子さん)

「私はあんまり褒めないんです。祖父母は褒めまくりますけれど(苦笑)。ただ、その代わり、子どもがやることをけなさないようにしています。なぜなら、子どもにも小さいなりにプライドがあると思うからです」

子どもの前で「この子バカだから」と平然と言ってのける母親がいると、とても気になるという。謙遜で言っているのか、自虐的に言っているのか。真意はわからないが、子どもの心を傷つけかねないことは確かだ。

▼子どもを伸ばすために親ができること2
「言い訳しない」

「言い訳しないように心がける」ことも淳子さんの子育てポリシーだ。「仕事があるから」「忙しいから」などと、子どもと関わる時間が少ないことを言い訳する母親は少なくない。しかし、そうした親に育てられた子どもは、自分でも言い訳ばかりするようになると淳子さんは感じている。

言い訳をしない。これは、つまり、親が子どもを目下に見るのではなく、年齢は低くても人として尊重し、気持ちの面ではフラットな関係でいることを心がけるということかもしれない。子ども扱いせず大人の関係を築くことが、子どもの成長や自立を促せると考えているのだと感じた。