難関大学の学生の多くが、「小学生時代に親に勉強しろと言われたことがない」と話す。彼らは親に「早く勉強しなさい!」などとうるさく言われなくても勉強したということだろう。現役小学校教諭の著者が語る、自ら机に向かう子どもの親の習慣とは?
親の夢「自ら机に向かう子ども」をどう育てるか?
「宿題は終わったの?」
「早く勉強しなさい!」
「いつになったら始めるの!?」
こんな言葉を口にした後、子どもからどんな反応が返ってくるでしょうか。
しぶしぶ始める子、「はーい」と気のない返事をしてだらだら机に向かうだけの子、あるいは、親のいらついている気配を感じてさっと逃げてしまう子……いろいろでしょう。
ただ、どのパターンにせよ、「やらされるのが勉強」という子どもの認識が高まることは間違いありません。その結果は、親としても望むものではないはずです。
もしも、こんな不毛なやりとりをすることなく、自ら机に向かう子どもになってくれたら、親としては願ったりかなったり。「勉強ひと休みして、おやつでもどう?」なんて言いたくなるかもしれません。
親が夢見る「自ら机に向かう子ども」の特徴とは何なのか? わが子がそんな存在になるには親はどんな手だてを打てばいいのか? これからひとつずつ見ていきましょう。
親が子どもに望むことの1位は「学習習慣」
【1:なぜ「自ら机に向かう」ことが大切なのか?】
そもそも、親につべこべ言われる前に、子どもが「自ら机に向かう」ことが望ましい理由は何でしょうか。それは、ずばり「学習の習慣を身に付ける」ことが人生を歩む上で極めて重要からです。誰かに命令されて嫌々やる。これは習慣ではありません。現状、学校の勉強に十分についていけるとか、苦手な部分もあるとか、そういうこととは関係なく子ども自身が机に向かう。そうした習慣が子どもの以後の人生に大きな影響を与えます。
ベネッセ教育総合研究所「小中学生の学びに関する実態調査 速報版 2014」(参考 http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=4340)によれば、小学生の65.3%、中学生の58.1%が「親に言われなくても自分から勉強する」ことが「ある」(「よく」+「ときどき」の合計)と答えています(調査対象者は小学4年生~中学2年生の子どもとその保護者)。
「自律型学習」の子どもは案外、多いように思えます。しかし、同調査が子どもに関する悩みは何かと保護者に聞くと「学習習慣」という項目を挙げたのは、子どもが小学生の場合は1位(46.7%)、子どもは中学生の場合は2位(51.6%)だった。
子どもが自ら机に向かう習慣が完全に定着しているとは言えないようです。